忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

世界の原油価格は低水準だのに、なぜ電気料金が大幅アップなのか
まあ、これを機に原発再稼働を社会的要請にすることと、金儲けが目的だろう。つまり、赤字だから値上げする、というのは大嘘だと私は見ている。

(以下引用)

2023年の原油価格の見通し



藤 和彦
コンサルティングフェロー





米WTI原油価格は年初来の安値で推移している(1バレル=70ドル台)。


振り返れば、ロシアがウクライナに侵攻すると原油価格は2022年3月に1バレル=130ドルに高騰した。当時は「150ドルを突破し史上最高値になる」の観測がもっぱらだったが、その後100ドル割れし、5月下旬に再び120ドル超えとなった。ウクライナ危機が長期化するにつれて、西側諸国のロシア産原油を禁輸する動きが活発化したものの、原油価格は夏以降、下落傾向が続いた。


原油価格の高騰は「ロシア産原油が市場から消える」などの供給不安から生じていたが、この「ロシア・プレミアム」は空振りに終わったからだ。タンカーで世界各地に搬送できる原油の市場調整のスピードは速かった。欧州に輸出されていたロシア産原油がインドや中国に回り、欧州は中東や米国産の原油を確保したことから、市場での供給不安は大きく後退した。


主要7カ国(G7)、EU、豪州は12月5日、ロシア産原油の価格上限措置を導入した。上限を超える価格で取引される原油の輸送について保険の付保を禁じることで、ロシアの戦争遂行能力をそぐことが狙いだ。ロシアが再三「制度導入国に原油を輸出しない」と警告しており、市場の混乱が予想されていたが、結果は「大山鳴動、鼠一匹」だった。


上限価格は1バレル=60ドルに設定されたが、ロシア産原油はそれ以下の水準で取引されている。ロシア産原油の大需要国であるインドと中国はこの制度に参加しなかったこともあって、原油市場に与える影響はほとんどなかった。


高まる需要に対する不安


足元では供給よりも需要への不安が市場を支配するようになっている。


ゼロコロナ政策のせいで世界最大の原油輸入国である中国の原油需要が減少するとの懸念が上値を抑える展開が続いている。世界の中央銀行の金融引き締めにより景気が減速するとの観測も強まっている。


2023年の原油需要はさらに厳しくなる可能性が高い。国際金融協会(IIF)は11月25日「来年(2023年)の世界経済の成長率は金融危機後の2009年並みの低水準(1.2%増)になる」との予測を明らかにした。IIFは「来年(2023年)の世界経済の最大の牽引役は中国だ」としているが、中国経済の下振れリスクが高まっており、世界経済の成長率はIIFの予測より低くなるのではないだろうか。


需給状況に鑑みれば、「原油価格は1バレル=65ドル前後が妥当だ」と筆者は考えているが、世界経済が急減速すれば、原油価格は1バレル=60ドル以下になったとしてもなんら不思議ではない。


原油価格の急落は、産油国にとって悪夢以外の何物でもない。世界の原油供給の5割弱を占めるOPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)は12月4日、現行の生産目標を2023年末まで維持する方針を決定した。


OPECプラスは2022年8月、2020年5月から実施していた減産措置(日量970万バレル)を解消した。原油価格が1バレル=70ドル台後半に下落したことを踏まえ、11月から再び日量200万バレルの減産に踏み切ったが、その後静観の構えを崩していない。


米国からの増産要請が足かせとなって、思い切った措置を講ずることが難しくなっているのかもしれないが、原油価格の下落傾向が鮮明になれば、大規模な減産を再び実施せざるを得なくなる。


これにより、原油価格は1バレル=80ドル台まで回復する可能性があるものの、需要が低迷する状況が続けば、原油価格は再び下落に転じることだろう。


投資不足に起因する供給不足


だが、「原油価格は来年(2023年)後半以降、再び上昇するのではないか」と筆者は危惧している。世界の原油・天然ガス開発の投資額が低迷したままだからだ。


2014年に8000億ドルだった投資額は2021年は3410億ドルまで低下している。国際エネルギー機関(IEA)は「投資額が早期に5000億ドル以上に増加しないと生産不足が生じるのは時間の問題だ」と警告を発している。


個別に見てみると、ロシアの原油生産量(日量約1000万バレル)が早期に減少することはないだろうが、制裁の影響で10年後に原油生産量は日量200万バレル以上減少するとの見方が有力になっている。


世界最大の原油生産国となった米国の生産量は日量1200万バレル程度で頭打ちとなっており、米国のシェール産業は成熟期に入った公算が高い。


増産余力があるのは中東産油国だが、地政学リスクの高さは変わっていない。イラン情勢が話題になることが多いが、筆者が注目するのはOPEC第2位のイラクの政情不安だ。11月に政権がようやく発足したが、国民の政府に対する信頼はますます下がっていると言わざるを得ない。リビアのような内戦が勃発すれば、日量約450万バレルの原油が市場から消えてしまうだろう。


OPECの雄であるサウジアラビアも権力継承が時間の問題だとうわさされている。中東地域での米国のプレゼンスが低下する一方、ロシアや中国の影響力が強まっていることも気になるところだ。中東地域で一朝事があれば、原油価格が急騰するのは火を見るより明らかだ。原油の中東依存度が95%を超える日本が最も大きな打撃を受けることは間違いない。


2023年の原油価格の見通しは「先憂後楽」ならぬ「先楽後憂」なのではないだろうか。



拍手

PR

コメント

コメントを書く