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徽宗皇帝のブログ

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中国のゲームと米国のゲームの違い


「耕助のブログ」(賀茂川耕助=ビル・トッテン)の最新記事で、ウクライナ戦争だけに幻惑されている多くの人に、現在の世界経済状況を冷静に分析して伝えている好記事である。まるで、囲碁のようだ。アメリカや欧州が「地域」の取り合いに視野狭窄症を起こしている間に、中国は世界全体を相手に大きなゲームをやっている。つまり、盤面全体を広く見ている。しかもそれはユダヤ的な詐欺と搾取の取引ではなく、相手国家との共存共栄の基本に立っているから、文句のつけようがない。
いつまでも中国を偏見の色眼鏡で見ていると、日本は米国の子分として最悪の手札を引かされる(貧困化の一途と、国民の奴隷化と対中国戦争の最前線に送られる)ことになるだろう。

(以下引用)

No. 1485 「新G8」、中国の「3つの輪」と出会う


「新G8」、中国の「3つの輪」と出会う


by Pepe Escobar


ロシア国家院議長ヴャチェスラフ・ヴォロージンが多極化する世界を定義する頭字語として「新G8」を作ったのかもしれない。
ヴォロージンは「対等な対話と互恵的な関係を築きたいと願う国々がロシアと共に『新しいG8』を形成するように、米国は自らの手で条件を整えた」と指摘した。


さらにヴォロージンは、ロシアに制裁をしないこのG8は購買力平価(PPP)ベースのGDPで旧G7を24.4%上回っており、一方のG7の経済は崩壊寸前で、米国は記録的なインフレを記録していると述べている。


ロシア科学アカデミーのヨーロッパ研究者の一人であるセルゲイ・フェドロフも、その頭文字のパワーを認めている。ロシアと並んでBRICS(ブラジル、中国、インド)の3カ国、それにインドネシア、イラン、トルコ、メキシコと、西側のロシアに対する徹底した経済戦争に賛同してしないこれらの国はまもなく世界市場を制覇するだろうという。


フェドロフは、新G8が経済面だけでなく人口面でも力を発揮すると強調している。 


  すべての国際組織を規制している西側が、もし自分たちの政策に従うようすべての人に圧力をかけるのなら、なぜこれらの組織が必要なのだろうか?ロシアはこのようなルールには従わない。


新G8は、その代わりに「誰にも何も押し付けず、共通の解決策を見出そうとする」のである。


新G8の誕生は、必然的にBRICS+の登場を意味し、これは中国で開催されるBRICSサミットで議論される主要テーマの一つとなる。アルゼンチンは拡大BRICSの一員になることに強い関心を抱いており、新G8の(非公式)メンバーであるインドネシア、イラン、トルコ、メキシコはいずれも候補となるだろう。


新G8とBRICS+が交差することは、上海国際問題研究院国際関係・公共問題研究所のCheng Yawenがすでに概念化してきた「3つの輪戦略」(Three Ring Strategy){1}を北京が加速させることにつながるだろう。


Chengは、2018年の米中貿易戦争が始まって以来、「嘘の帝国(米国)」と「その属国」は「デカップリング」を目指しており、したがって中華は、西側との関係を戦略的に格下げして南と南の協力に基づく新しい国際システムを促進する必要があると主張している。


それが新G8のように有言実行されているのは、それは本物だからである。


革命は “世界の田舎 “にまで及ぶ


Chengは、国際関係において「西側による中心ー周辺というヒエラルキーが暗黙のルールとして永続してきた」ことを強調する。そして、中国とロシアは、「その厳しい資本規制のために米国が世界の周辺部を支配するうえにおいて最後の2つの障害」になっているとしている。


では、「3つの輪」、すなわち新しいグローバル・システムは、どのように展開されるのだろうか。


1つ目の輪は、中国の近隣諸国である東アジア、中央アジア、中東の国々、2つ目の輪は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの多くの発展途上国、3つ目の輪はヨーロッパと米国を中心とした伝統的な先進国である。


3つの輪を構築するための基盤はグローバル・サウスのさらなる統合である。Chengは「1980年から2021年の間に途上国の経済量は世界の総生産量の21%から42.2%に上昇した」と指摘する。


しかしそれでも「現在の途上国の貿易の流れや相互投資は依然として欧米が支配する金融・通貨制度/ネットワークに大きく依存している。欧米への依存を断ち切り、経済的・政治的自立をさらに高めるためには、途上国間のより広範な金融・通貨協力と新たな手段を構築する必要がある」と言う。


これは、現在、中国が参加しているユーラシア経済連合(EAEU)内部における隠された議論に言及しており、ユーラシアだけでなく、グローバル・サウスにもブレトンウッズ3.0のようなものを実施しようとする米国の試みを回避するため、代替的な金融通貨システムを設計しているのである。


Chengは、「農村から都市を包囲する革命的な道筋」という毛沢東の比喩を使って自らの主張を説明する。今必要なのは、中国とグローバル・サウスが「西側の防止策を乗り越えて、『世界の田舎』である周辺諸国と一緒に協力することだと言うのだ。


つまり中国の研究所が概念化したように、これからできつつあるのはグローバル・サウス全体に拡大するよう設計された、新しい多極化した世界の革命的な先頭としての「新G8/BRICS+」の交流である。


それはもちろん、中国の地政学的・地経済的パワー(通貨を含む)の国際化の深まりを意味する。Chengは「米国の包囲網を突破する」ためには、「3つの輪」の国際システムの構築が不可欠であるとしている。


帝国がそれを甘受しないことは十二分に明らかである。


包囲網は続くだろう。インド太平洋経済枠組(IPEF)は中国を封じ込めるための、今回は北東アジアから東南アジアまで、おまけにオセアニアも入れた有名な「取り組み」なのである。


IPEFに関して米国は「経済的関与」に重きを置いていると説明する。実質的にあらゆるものを生産している中国から、ほとんど生産していない米国にできるだけ多くの貿易を振り向けたいという真の意図を隠す、(ハイブリッド)戦争の霧だ。


米国はASEAN10カ国のうち7カ国に戦略を集中させることで、このゲームの正体を明かしている。彼らの論理はこうだ。ASEANには「安定したパートナー」が必要であり、米国経済は「比較的安定している」のでASEANは米国の地政学的な目標に従わなければならない。


IPEFは貿易と経済を隠れ蓑にして、これまでと同じように米国が3つの異なる角度から中国を追いかけるというものだ。


* 南シナ海ではASEANを利用する。


* 黄海と東シナ海では日本と韓国を利用して中国が直接太平洋にアクセスすることを阻止する。


* より大きな「インド太平洋」(そこでQuadのメンバーであるインドが登場する)。


貿易を多様化し、より強く、より弾力的なインド太平洋という、甘いアップルパイのようなレッテルが貼られている。


BRI回廊の復活


北京はIPEFのことを考えても眠れなくなることはない。なぜならASEAN諸国との貿易のつながりのほとんどは、強固なものだからだ。しかし台湾については異なる。


この週末にシンガポールで開催されたシャングリラ・ダイアログで、中国のWei Fenghe国防相は、東アジアの秩序(もちろん「ルール・ベース」ではない)について北京のビジョンを明確にし、核心を突いた発言をした。


台湾独立は「見込みはない」とWei将官は言い、北京の平和的目標を主張する一方で、米国の「中国に対する脅威」の数々を激しく非難した。そして干渉しようとするものには「いかなる犠牲を払ってでも戦い、最後の最後まで戦う」。またIPEFに言及することなく、インド太平洋諸国を「ハイジャック」しようとする米国の動きをはねつけた。


中国は現在、西側の国境を安定させることに集中しており、それによって南シナ海と「インド太平洋」にもっと時間を割くことができるようになるだろう。


中国のWang Yi外相は、BRIとEAEUの正会員であるカザフスタンを訪問し、ヌルスルタンでの首脳会議でカシムジョマルト・トカエフ大統領と中央アジアの「スタン諸国」の全閣僚と会談するという重要な出張を行った。C+C5と名付けられたこの会合では、安全保障、エネルギー、輸送からアフガニスタンやワクチンまで、あらゆる事柄が話し合われた。


要するに、BRI/新シルクロードの回廊が必要だということである。これはBRIは行き詰まっていると悲報を流す欧米の声と対照的である。


中国ー中央アジア・ガスパイプラインラインDと中国ーキルギスーウズベキスタン鉄道という2つのBRIの骨子となるプロジェクトが本格化するのはこれからだ。いずれも何年も前から計画されていたものだが、今や絶対に欠かせないものとなっており、中央アジア回廊におけるBRIの旗手となるプロジェクトである。


中国ー中央アジア・ガスパイプラインDは、トルクメニスタンのガス田をウズベキスタン、タジキスタン、キルギスを経由して新疆につなぐもので、このプロジェクトのメインテーマは、「中国・中央アジア・ガスパイプライン」である。これがトルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領が冬季オリンピックで北京を訪れたときに議論したメインテーマだった。


523kmの中国ーキルギスーウズベキスタン鉄道は、トルクメニスタンの既存の鉄道網を経由して中央アジアの2つの「スタン諸国」を中国ー欧州の貨物鉄道網に接続する重要な役割を果たすことになる。


ウクライナの地政学的情勢を考えると、中国からの貨物がイラン経由やカスピ海港経由で制裁下のロシアを迂回できるようになることは、それだけで爆弾発言といえる。ロシアと中国の戦略的パートナーシップの観点からすれば、”悪く思わないで、単なるビジネスだから。”


予想通り、キルギス人は大喜びだった。建設は来年から始まる。キルギスのジャパロフ大統領は、「雇用が生まれ、経済が活性化する」と語った。


中国が中央アジアの「1つ目の輪」で断固とした行動をとるという話である。ASEANのどこであれ、IPEFがそのような地理経済的な広がりと範囲を「提供」してくれることなどまったく期待できない。


Link {1}: https://readchina.info/en-US/articles/586615452688449537


https://www.strategic-culture.org/news/2022/06/15/the-new-g8-meets-chinas-three-rings/


https://www.unz.com/pescobar/the-new-g8-meets-chinas-three-rings/


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