タイトルには不満がある。この問題は世代間問題ではない。こうした「世代間反目」を煽るようなタイトルの付け方は、為政者(支配階級・特権階級)による「分断統治」の片棒を担ぐようなものだろう。(年金制度などでそれは顕著である。)
日本は今や明らかな階級社会であり、社会の下層に生まれた人間は、上層に上ることはほとんど不可能なシステムになっていると言える。もっとも、橋下のように、支配階級の操り人形として下層民支配の道具になる人間なら、下層階級出身でも多少は上に上ることはできる。(ヤクザなどは最初からそうした道具だから、ヤクザ出自の橋下には自然な出世コースであったわけだ。)
弁護士はもともと「三百代言」(正義などそっちのけで、依頼者が誰でも、そのために都合のいい弁舌をふるう弁護士)であるのが普通だから、あまり好きな職業ではないのだが、下記記事に書かれた弁護士(または弁護士志望者)たちの状況については同情する。
人生のスタートから借金を背負って「マイナススタート」するのは厳しい話である。中には、この社会で「正義」を実現したいという真面目な弁護士志望者もいただろう。
まあ、日本の若者はこの社会の本当の仕組みなど知らないままに大学や学部を選ぶのが普通だから、彼らは言わばこの社会そのものによって騙されたようなものである。大学と言っても、あるいは法学部と言っても、実は東大法学部以外には社会に出てのメリットなどほとんど無い、というのが現実ではないか。
そもそも、弁護士になるには大学卒の資格すら要らず、独学ででも司法試験に合格すればいい、ということすらほとんどの若者(高校生)は知らないだろう。そういうことをあまり宣伝すると、高校や予備校の大学合格実績が落ちるから、先生たちもほとんど言わないのではないか。まあ、大学入試とスポーツと女の子(男の子)と芸能界にしか興味の無い高校生に、社会の現実を勉強しろ、と言っても無駄な話だろうが。
とは言え、無知な子供の頃の選択で、一生を誤り、不幸になる、という状況を放っておいていいわけはないのである。
人々を不幸にするような社会のシステムは、一つびとつ改めていかねばならないはずだ。だが、現実は常に、「貧しい者をより貧しく」「不幸な者をより不幸に」していく方向に、社会システムは変えられていくのである。
(以下引用)
奨学金問題を何度か記事にした時に、日本では大人が子どもに借金を負わせてその分自分たち世代が利益を享受しているという趣旨の批判を書いたことが何度かあります。
それと同様の問題だと思うのが、司法修習生への給与制廃止です。そのために多額の借金を抱えて職業生活を始めなければならない若い弁護士が大勢出ます。その中からは、借金を返すのに苦労してカネのためだけの仕事をするようになる弁護士も出ることでしょう。弁護士なら必ず順風満帆の高収入生活をおくれるというものではありませんから、借金を返せずに苦労する弁護士も出てくるでしょう。
日本はなんという社会でしょう。社会に出る前に子どもや若者に借金を背負わせてマイナスからのスタートを強いる、鬼の年長者たちが支配する国なのです。年少者や若者を支援するのではなく、年少者や若者を必要以上に苦しめる国なのです。国自体は貧しくても教育には予算を多くあてようとしている国もあるというのに、日本はその逆をいっています。子どもに利子つきのカネを貸してそこから儲けを出そうとする国。戯画的に言うとそういうことではないでしょうか。
下の報道が、法曹の卵たちのきびしい現実を伝えていますので、少しでも多くの人に知っていただくための前振りはここまで。どうぞお読みください。
(転載ここまで)●FNNニュース
「法曹の卵」が直面する、厳しい現実を取材しました。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00264928.html
2014/03/18 01:29
裁判官、検察官、そして弁護士。これらの職業に就くためには、司法試験に合格する必要があります。
合格後もさらに1年間、現場での研修を義務づけた司法修習の期間があり、以前はその期間中、年間およそ250万円の給与が国から支払われていました。
しかし、2011年にこの給与制が廃止されたことで、借金を抱えて弁護士デビューする人もいます。
法曹の卵が直面する、厳しい現実を取材しました。
弁護士の卵が見せてくれたのは、かごいっぱいに並んだ即席麺。
司法修習生の桐山正太さん(仮名・29)は「夜はもうほとんど、カップ麺ですかね」と話した。
1年間の給料ゼロを乗り切るため、こうした節約をする司法修習生たちが増えているという。
桐山さんは「今、裁判の修習なんですけども、基本的には法廷を傍聴したりとか、あとはいろいろ判決文を書いたり、そういうことをしています」と話した、
弁護士を目指している桐山さん。
法科大学院卒業後、2013年、3度目の挑戦で、司法試験にようやく合格した。
現在は週5日、午前9時から午後8時まで司法修習を受けている。
桐山さんは「実際、生活してみると、厳しいなっていう感じはありますね」と話した。
現在、桐山さんは、毎月23万円の貸与金を受け生活している。
アルバイトをする時間もなく、家賃や食費などの生活費はもちろん、弁護士の登録費用や交通費なども、全てここから賄わなければならない。
桐山さんは「僕自身は本当に、まだ恵まれているほうで、大学、法科大学院のころの借金(奨学金)っていうのが、そんなに多くなくて、150万円ぐらいなんですけど。毎月、月々1万5,000円ずつぐらい返している感じです。借金で借金を返済しているっていう感じになっています」と話した。
司法修習終了時には、貸与額はおよそ300万円となる見込み。
桐山さんの場合、弁護士になれたとしても、奨学金とあわせて410万円の借金を抱えてのデビューとなってしまう。
桐山さんは「本当は、お金がなくても困っている人っていうのは、いっぱいいると思うんですけれども、そういう事件をないがしろにして、お金になる事件ばっかりを追いかけるような弁護士が増えたり、自分も、もしそうなってしまったら嫌だなっていうのが、すごく今、感じています」と話した。
4年前までは、司法修習生にも、月およそ20万円の給与が与えられていた。
しかし、国の財政難などの理由から廃止され、現在は自己資金か、桐山さんのように貸与制を利用しなければならなくなった。
この貸与制を利用しているのは、司法修習生の85%。
借金の平均額は、340万円となっている。
貸与制の第1期生だった野口景子弁護士の周りには、お金が工面できず、弁護士の夢を諦めた友人がいたという。
野口弁護士は「親御さんの非常に経済的な状況が厳しくて、法律家、最終的に修習生になることをやめてしまったっていう子がいました。大学・ロースクールまでの奨学金と、それから貸与金の300万円をあわせて1,000万を超えてる人って、すごくざらにいるんですね」と話した。
一見、華やかに見える弁護士という職業だが、その所得の割合は、300万円以下が全体の30%を占めている。
そんな厳しい現実の中、17日、「司法修習生への給費制を廃止したのは、憲法違反で無効だ」として、元司法修習生およそ120人が、給与の支払いを国に求める裁判の第2回口頭弁論が行われた。
そこに参加していた野口弁護士は、「今の学生や、あるいは、まだまだちっちゃい子どもたちが、お金、経済的なことを理由に、弁護士や裁判官、検察官を諦めずに済むような、そういう制度にしてほしいということを強く願います」と話した。(03/18 01:29)
「国の財政難」?何を言っているのですか。お金がないからといって自分の食費をそのままに子どもの食費から削る親のようなものです。報道を見るたびにどこかの国に財政支援だの高額所得層や利益をあげている大企業への減税だの官房機密費だののカネの話が目につきます。「国の財政難」なんて言い訳にもなっていません。
コメント