究極の詭弁、家庭一年分の原発燃料は、たったの11グラム?
今朝の、「東野幸治の、正義の味方」という番組は、徹底的な原発推進プロパガンダに終始した。
極めつきは、「家庭一年分の核燃料は11グラム」という宣伝で、列席している無知なアイドルたちが、声を揃えて「たったの……」と驚いてみせた。
「ならば、どうして原発を使わないの?」
と言わせるための番組だったのだ。
だが、原発核燃料11グラムができるまで、どれだけの労力、ウラン鉱石が必要か?
核分裂後、数百万倍に増殖した放射能が、生物にとって安全になるまで、どれだけの時間が必要か?
もしも核事故が起きたなら、どれだけの費用が必要か?
という、原子力を他のエネルギーと比較する判断をするための情報は、一切示されなかった。
そこで、ネットを探して、11グラムの原発核燃料の持つ本当の意味を探ってみよう。
「少しの燃料で大きなパワー」というけれど ーちいさなウラン燃料が出来るまでー
ウラン鉱石の採掘
ウランの鉱床が地表から浅いところにある場合は露天掘りが行われます。露天掘りの場合は大型機械の導入が可能なので、生産規模、能率は坑内堀より大きいです。しかし、写真から明らかなように、ウランを含んだ残土がむき出しになっています。これでは乾くと埃となって周辺に飛び散り、大雨が降ると川に流れ込むというように放射能による深刻な環境汚染が引き起こされます。ウランを含んだ土には、ウランだけでなくトリウム、ラジウムなどの放射能も含まれ、これを吸い込むと肺がん、骨肉腫などの原因になります。
鉱床が深い場合に坑内堀が行われます。
鉱床まで坑道が掘られ鉱石を運び出します。発破によって鉱石を崩すので放射能を含む埃が坑内に充満します。鉱夫のなかには肺がんになった人も多くいます。
鉱山で働く人々にはウランが体に悪いことなど知らされていませんでしたから、埃だらけの坑道内で食事をしたり、坑道の中に溜まった水を飲んだり、放射能を含む埃まみれのまま家に帰り子供達と遊んだりしました。このような状況は、どこのウラン鉱山でも共通しています。そのため、ウラン鉱山で働いた人たちの中には、肺ガンで亡くなる人が他の地域よりも5倍も多いという報告もあります。
ウランの採掘の初期の頃に鉱山で働いたナバホ族の400人中約70人が肺がんで死亡したといわれています。(日本人の場合 1997年の統計では、肺がんで死亡する男性は1万人中約4人です)
ウラン燃料の精錬
採掘された鉱石は精錬工場と呼ばれるところに運ばれ、細かく砕かれて水で洗われます。そのあと濃硫酸、アンモニア等の薬品を使用して、段階的にウランを他の混ざりものから精製してゆきます。精錬されたウランはイエローケーキと呼ばれ、さらに濃縮工場に運ばれてウラン燃料となります。
残りの混ざりものも鉱滓と呼ばれ池に貯めておかれたり、野積みにされていたりします。これにはまだ放射能が多く残っているため洪水で周辺の湖や川に流れ込んだり、さらに乾くと埃となってまわりに飛び散り、広範な土地を放射能で汚染し、周辺に住む人々の健康を脅かします。
30トンの燃料を作るために
普通の大きさの原発(100万kW時)を一年間運転するのに必要なウラン燃料は30トンです。
燃料ペレットは燃えるウラン(核分裂を起こしてエネルギーを出すウラン)であるウラン235、約3%と燃えない(核分裂しない)ウラン238、約97%からなっています。
天然のウラン鉱石中の、ウラン235とウラン238の割合は0.7%と99.3%です。そのため燃料ペレットを作るには、ウラン235の濃度を高くしなければなりません。これを濃縮といいます。
30トンの燃料を作るために、ウラン残土が約240万トン、鉱滓(低レベル放射性廃棄物)が13万トンでると計算されています(劣化ウラン弾の項参照)。
国連科学委員会の報告によると、世界では現在14カ国がウランの採掘を行っており、これまでに100万トン以上のウランが採掘されました。そして残土は16億8000万トン以上にのぼるといわれます。
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一部抜粋引用以上
30トンの原発核燃料を作るため、240万トンの鉱滓、13万トンの放射能廃棄物が出るわけだから、1トンの燃料につき、それぞれ、8万トン、4300トンの有害廃棄物が出る。
一年間の家庭用原発燃料11グラムでは、約900Kg の鉱滓と、50Kgの放射能廃棄物が出ることになる。つまり11gの核燃料を得るために約1トンのウラン鉱石が必要になる。
しかも、その採掘は、貧しい先住実労働者に肺癌などの健康被害を大量に起こさせるので、もの凄い人的犠牲の上に作られている。
そして、この11gの原発核燃料を核分裂させると、どうなるか?
原発内部で起こる核分裂|核分裂反応によって作られる放射性物質とその毒性
原発内で核燃料を燃やす(核分裂させる)ことにより、極めて毒性の強い(核燃料の毒性の30倍~600億倍の毒性を持つ)核廃棄物(核のゴミ)が作られる。
表の最下段のウラン235は原発の燃料であるが、それ以外のものはみな、原発を運転(ウラン235が核分裂)することによって出来る放射性物質である。表の最右欄の数値から明らかなように、原発を運転することによって、とてつもなく毒性の高い放射性物質を作り出していることが分る。
ウラン235の1g当たりの放射能強さが8万ベクレルであるのに対し、ヨウ素131の1g当たりの放射能強さは4600兆ベクレルであり、約600億倍に毒性が強くなっていることがわかる。最も毒性の増加が少ないウラン236ですら、ウラン235の毒性の30倍に毒性が強まっている。
原発を行わなければこのように毒性の高い強力な放射性物質は出来ないことを正しく知る必要がある。
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引用以上
ウラン核燃料を原発で核分裂させてエネルギーを取り出すと、実に600億倍の猛毒放射能が生成されるのである。
ヨウ素131は、核燃料1gあたり4600兆ベクレル生成されるので、家庭一年分の11gでは、5京ベクレルを超える。
これは地球上の全人類に注入すれば、全員に甲状腺癌を発生させられる量だ。
これをテレ朝の「正義の味方」という番組が、「たったの11gだから原発再稼働をすべき」と大宣伝をかけているわけだ。
さらに、11gの1年間家庭用核原料が生み出した凄まじい放射能を、無害化させるのに必要な手間が一切語られていない。
原発核燃料の「地層処分」が、さも安全であるかのように宣伝されているが、とんでもない話だ。
まず、使用済み核燃料は、ステンレスキャスターに収納されるが、これをいきなり地下深い処分場に搬入することはできない。
核分裂時の1割近い、もの凄い崩壊熱を持っているので、強制冷却しなければ、わずか数日でキャスターが崩壊して、放射能を環境に爆発的に噴き出してしまう。
フクイチ事故で、「東日本が壊滅する」といわれたのは、この4号建屋に保管されたキャスターの冷却ができなくなったせいだ。しかし「本当に偶然」震災破壊箇所から水が流れ込んで、東日本壊滅を奇跡的に免れた。
当時の菅政権は、4000万人の緊急避難計画を建てねばならないかった。
地上で強制冷却保管する期間は、ウラン核燃料の場合で50~100年、プルトニウムMOX燃料の場合は、実に500年である。
なぜ強制冷却しなければならないかというと、地下保管場で100度以上の熱を持つと、冷却水が沸騰蒸発して冷却不能になり、キャスターが崩壊するからだ。
地上では、仮に冷却水循環が壊れても、空冷や雨水供給など、比較的冷却がしやすいからである。
だから、地上で核燃料の温度が100度以下になるのを冷却しながら待たなければならない。その期間が500年ということだ。(再稼働原発は全部プルトニウムMOX)
そして、地層保管場で、安全になるまでの期間は、上のウィキでは数万年にしているが、プルトニウムなどアクチノイド・マイナーアクチノイド核種が無毒化するには数十万年~数千万年かかるのだ。
原発が「トイレなきマンション」といわれる理由は、この安全な廃棄物処理能力が人類に存在しないからである。
過去の原発運営者は、全員が、
「未来になれば安全な処理方法が発見されるにちがいない、科学技術の進化を信じよう」
と無責任に、問題を先送りして見切り発車してしまったのである。
ところが、人類史において、500年間安定した政権政治は存在していない。日本では江戸幕府の260年が最長だし、実はローマの千年帝国とはいっても、事実は政権の継続性という視点では、徳川時代にも劣るのだ。
そして、政権が換われば、核廃棄物の処遇も引き継がれる可能性は低い。いつのまにか危険性が忘れられ、やがて冷却もなおざりにされて、政変や戦争、震災、劣化などで貯め込んだ超危険な使用済み核燃料は、人類の生存環境を致命的に破壊する運命なのである。
たったの11グラムというのは、超詭弁である。
このために必要なエネルギーは、化石燃料の比ではない。核燃料が生み出す人間活動の損失は、とんでもないものだ。
フクイチ事故で、日本政府が投入する税金は21兆円といわれるが、実際には、廃炉は不可能であり、必ず100兆円を超える。
そして、被害国民に正当な賠償が行われるとすれば1000兆円を超える。
たった一回の事故で、国家予算10年分が吹っ飛ぶのだ。
「たった11グラム」と矮小化し、原発再稼働を行えば、人類の未来も完全に破壊されるのである。
テレ朝、早川体制は、どこまで日本を破壊しようというのか!
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