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日本国憲法は「ゆりかご」か

「反戦な家づくり」から転載。1週間以上前の記事である。
この記事を掲載したのは、同意のためではなく、考察課題とするためであり、むしろ反対意見になりそうだ、という予感がある。まあ、例によって、書いているうちに自分の思想が見えてくることになるだろうから、予感と言っているわけだ。
まず、揚げ足取り的な言葉になるかもしれないが、日本国憲法は「ゆりかご」か、という事を問題にし、その次に、仮にそれが正しいとして、日本国民は「ゆりかご」を脱するほど成長したか、ということを次の問題にしたい。さらに、日本国憲法のどこが問題か、下の記事では明らかにしていないという点を問題にしよう。もう一つ、どうでもいいことのように聞こえるだろうが、日本国憲法が妥協の産物だとして、妥協は悪いことか、ということも問題にしたいのだが、それこそ揚げ足取りにしかならないだろうから、一言で言っておけば、政治は常に妥協の産物であり、妥協をしない政治を、少数意見を無視した強権政治、全体主義政治と言うのである。理のある少数意見にも配慮することこそが、「多数決という欠陥」を持つ民主主義の大前提なのだ。

さて、日本国憲法はゆりかごなのか、ということに関してだが、これまで何度も言ってきたように、日本国憲法はゆりかごどころか、政治の到達点を示す、イデアなのである。理想主義の旗だ。それが現実に合っていないのなら、現実が不正なのである。おそらく、世界のどの国の憲法でも、日本国憲法ほどの理想を述べていないだろう。言うまでもなく、それは憲法9条を有する、ということだ。日本国憲法に不満を持つ人は、「天皇の地位」に関する条項があること自体が不満だ、というのだろうが、それはあくまで「象徴天皇」なのであり、下の記事に言うような、天皇を日本の「トップ」にすえるという性質のものではない。この点では、明月氏は完全に間違っていると私は断定する。「日本国民統合の象徴としての天皇」すら否定したい、拒否したいというのなら、それは別の議論になる。9条の方に不満があるというなら、それは安倍政治のシンパ、日本会議のシンパだ、ということになり、明月氏がそうでないことは明らかだから、9条についてはここでは論じない。
先に、なぜ、明月氏の議論をここで俎上に載せるのか、ということから言っておけば、下の文章は日本国憲法を「欠陥品」だと主張しているのと同然であり、いわゆる「左からの改憲論」に人々を導く危険性があるからである。「左からの改憲論」の危険性については、「世に倦む日々」氏の過去の文章が詳細に述べている。私もそれに同意見だ。
残りを簡単に述べておく。仮に日本国憲法がゆりかごだとしても、日本国民はそのゆりかごを離れて生きられるほど政治的に成熟していない。それは、直近のマスゾエ騒動を見ても明白だろう。甘利贈賄事件にみられるように個々の法律すら無視されているという状況は、憲法が機能していないということだが、それは憲法の罪か。憲法の条文のどこに欠陥があるというのか。その「欠陥」を言挙げするのは右翼陣営のみであったのに、左側の人間(明月氏がそうかどうかは分からないが、政治改革を熱望し、それも安倍政治や右翼政治に反対の立場であるならば、一応は左側陣営と言えるだろう。中道は、もはや左なのが現状だ。)までが憲法改正を言い出すことがいかに危険か、それが分からないのだろうか。
長くなるので、このへんまでとする。



(以下引用)

憲法という「ゆりかご」

これまでも何度か書いてきたが、私は日本国憲法を絶賛して神棚に上げておく派ではない。

この憲法は妥協の産物として生まれた、ということが明らかだからだ。

つまり、左手には9条、右手に1条、頭の上には日米安保+地位協定がのっかり、足下には沖縄を踏みつける。
これが憲法の歴史的な位置である。

憲法は良いけど、安保や沖縄切り捨てはよくない、というのは居酒屋論議としては結構だが、歴史をふまえない話であり、まったく意味をなさない。
この条件でなければ生まれなかったのが日本国憲法なのであり、この全体像のなかの一部を担うのが日本国憲法だったのである。

大日本帝国側の国体護持=天皇の戦争責任の免責、米国側の実質植民地化、という二つの要求を通すにはどうしたらいいか。
あまりにも露骨にやれば、アジア諸国は納得しないし、当時の状況では日本で共産主義革命がおきてもおかしくはなかった。
それらの勢力を納得させつつ、国体護持と実質植民地化を実現する、天才的な手段として、日本国憲法は生まれた。

侵略の挙げ句に敗戦した国の最高責任者を免責する。免責どころか「トップ」に据えたままにする。
どう考えてもあり得ないことを、日本国憲法はやってのけた。

戦勝国が敗戦国を永続的に植民地化する。19世紀のむき出しの帝国主義の時代ならばともかくも、20世紀の半ばも過ぎた時点ではあり得ないことだ。
これもまた、日本国憲法は巧妙な隠れ蓑になった。

その意味で、私は日本国憲法を賛美する気持ちにはならない。

■■

しかし、羽仁五郎氏の本を読んでいると分かるけれども、当時条文作りを担当した人たちは、個々人としては精一杯の努力をした。
大きな妥協から始まる民主主義の世の中を、これから挽回して作り上げていくために、できる限りの仕込みは考えていた。

いわば、日本国憲法は民主主義の「ゆりかご」だったのである。

ところが、戦後の民主主義を先導する人たちは、この憲法こそが民主主義だ。民主主義の完成形だ と勘違いした。
これから、いちから創っていかなければならないのに、もう手の中にあると思い込んでしまった。

「ゆりかご」の心地よさを、戦後民主主義と称して満喫し、いちから創る努力を怠り、憲法の本質を議論することには「改憲派」とレッテルを貼って排撃した。
「ゆりかご」から飛び立つのではなく、「ゆりかご」のなかで70年間を過ごしてきてしまった。

ハイハイも立っちもせずに過ごしてきたけれども、さすがに先人の仕込みが功を奏し、憲法という「ゆりかご」は何とか命脈を保ってきた。
しかし、そろそろ限界に来ている。敵はもはや遠慮もなにもない。露骨に「ゆりかご」解体を政治日程にいれて、「ゆりかご」を「牢獄」に変えるプランをも具体的に示している。

対するに護憲派は、いまだに「ゆりかご」のなかから「壊すな」と叫ぶことしかできない。
「ゆりかご」から飛び立って、本物の民主主義を根っこから育てることを怠ってきたツケは、もはや一朝一夕では取り返しが付かない。

■■

民主主義とは、多数決ではない。それは最後の結果であり、民主主義のプロセスとは、自分の考えを言う、ということにつきる。
究極の民主主義とは、誰の考えもが同じ重さで発信される状態である。

その発信をするための手段が代議制である。
世襲やポット出の政治家にたまたま投票するという選挙ではなく、日頃から自分たちの代表をつくる活動こそが、民主主義。
まさに、草の根の政治活動こそが民主主義そのものだ。

自民党は、業界団体の○○政治連盟などなど、こうした活動と組織作りをせっせとおこなってきた。ある意味、自民党の方がずっと民主主義の活動を実践してきたと言える。
護憲派は共産党の組織をのぞき、ほぼこうした根っこからの政治活動をつくってこなかった。民主主義はそこにあると勘違いし、大きな声で叫べば皆が賛同してくれる、と思い込んできた。実際はそうならないのに、その幻想から何十年も逃れられなかった。

また、マスメディアについても、羽仁五郎氏らは、NHKだけは民主的に運営できるようにと、人事や予算を国会承認事項とした。
国会が拮抗していれば、NHKも一方的に大本営発表にはならないだろう、との思惑だった。
マスメディアの危険性は戦中の経験から痛いほど分かっていたから、NHKだけでも「軍の言いなり」や「金次第」にならないメディアをつくっておこうということだった。

自分の意見を発信できることが民主主義であるとするならば、マスメディアが完全に支配されてしまった世の中というのは、独裁国家に等しい。
それでも、草の根の政治活動をちゃんとやり、それなりの議員を確保することができていれば、NHKだけはまだマトモなメディアのはずだった。が、現実は、見ての通りだ。

マスメディアの危険性など、70年前からずっと分かっていたことであり、その対策を怠り、「ゆりかご」のなかでリベラルな記事を読んで安心してきた結果が今日なのである。

■■

もちろん、いまだに民主主義の「み」の字も実現できていないこの日本で、せめてもの代償であった憲法を、壊されてはいけない。
もう使い込まれて哀れにもボロボロの「ゆりかご」ではあるけれど、それでも今すぐに壊されると、代わって立ち現れるのは国民の「牢獄」のような新憲法=自民党草案だ。

だから、爆撃機に竹槍かざす心境ではあるけれども、それでも今は「憲法壊すな」と言うしかない。
それと同時に、憲法の上に乗っかって安逸をむさぼり、結果としてこの事態を招いているのは、他ならない護憲派の責任大なのだということも、言い続けなくてはならない。かなり嫌われそうだけれども。

これまでできなかった草の根の政治活動を、これからの数十年間でつくっていくために、いくら嫌われても護憲派の方々には理解してもらわなければならない。
孤立無援かと思われたこんな私の考えも、近年、意外と同志が多いと言うことも分かってきた。

「ゆりかご」は壊してはいけない。
しかし、「ゆりかご」に安住してきた私たちの姿勢は、一度壊す必要がある。



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