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徽宗皇帝のブログ

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是々非々ということ
安倍総理がサミット会議で「世界はリーマンショック前夜の状況にある」と言って笑い者になったというネット記事をあちこちで見るが、この件に関しては「笑い者」にしているのは欧米マスコミで、日本のマスコミやネット記事はそれに追随しているだけではないか。

私は安倍総理が大嫌いだが、同じ思いを持つ人々であっても、彼が珍しく正しい発言や正しい行動をした時にまで彼を揶揄したり否定したりする姿勢は危険だと思う。
たとえば、安倍総理が消費税増税を延期したことで彼を攻撃する記事もたくさん見る。だが、それでは、予定通り増税しろ、と主張しているのか。要するに、アベノミクスは失敗だったから、その責任を取って退陣しろ、と言いたいだけのことだ。
アベノミクスを批判するのはいい。私も散々批判してきた。だが、消費税増税延期は安倍の英断であり、勇断だ、となぜ褒めないのか。それほど消費税を上げてほしかったのか。財務省主導の「財政再建」とやらは庶民生活を地獄化してもやるべきことだと主張するのか。まったく、これこそ論理のたがが外れている。
なお、忘れている人はいないと思うが、消費税増税は(おそらく財務省の差し金で)民主党の野田が決めたことだ。それを財務省に逆らってまで増税延期を決めたことは、安倍のわずかな功績の一つだろう。
なお、サミットで各国首脳が否定したのは「財政出動」で「これから生じる(かもしれない)経済危機に備える」ことであり、ラガルドなどは、「リーマンショック」的な危機が近く生じるとは思わない、と安倍総理の考えを否定したようだ。そのどちらも誤った姿勢だと私は思う。EUには財政的余裕が無いから、財政出動したくないのは当然だ。米国も金融資本支配国家であるから、金融企業が破綻したら国家にたかって救済されることは折り込み済みだろう。米国に限らず、政治は経済界の下請けでしかないのだから。また、世界的な金融企業の大きな破綻の防止策などまったく存在していないはずである。実際に「リーマンショック」的な破綻があれば、また同じような経過をたどり、結局は庶民にツケが回されることになるだろう。
むしろ、この件では安倍総理は(消費税増税を延期する口実として「リーマンショック」の言葉を使ったのだろうが、増税延期自体が日本国民を救っているのだから)立派な行動をしたと言えるし、これから起こるかもしれない金融危機(周期的にはそろそろあっておかしくはない)に警鐘を鳴らしたことも議長国首脳としては当を得たふるまいだったと結論できるのではないか。むしろ欧米各国首脳のほうが阿呆で無責任なのではないか。
なお、私は安倍総理に対する総合評価を変えてはいない。だが、必ずしもただの阿呆ではない、と思っている。軍国主義的側面も最近は抑えているようにも見える、と言えば褒め過ぎか。

相手への好悪に関わらず、その言動の是は是、非は非とすることが大事だろう。



(以下引用)



安倍首相、新たな世界危機で世界を脅かす[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月27日 00:55
タチヤナ フロニ

世界経済は規模においてリーマン・ブラザーズの破綻後に発生した2008年の危機に匹敵する新たな危機に直面するかもしれない。G7伊勢志摩サミットで26日、安倍首相が述べた。ロイターが報じた。


それによると、原料価格は2014年から55%減少、これはリーマン・ブラザーズの破綻前の状況に似ている。もうひとつの不穏な兆候は発展途上国の成長ペースが世界危機の期間よりもさらに低くなっていること。G7サミットでは景気後退に対処する方法を議論する必要がある、と安倍首相は述べた。


安倍首相のこの懸念はどの程度根拠のあることなのか。高等経済学院のアンドレイ・フェシュン氏がスプートニクの取材に答えた。


「私は、2008年の大規模な危機の再発、それによる世界経済への非常に深刻な影響という安倍首相の発言はまったく偶然的なものではないと考えている。日本は残念ながらデフレ状況が継続しており、よく広報されたアベノミクス計画のいわゆる「3本の矢」は、どこにも命中していない。デフレ状態からの出口についても将来的に明確な見通しはないままだ。この不確実性に、中国経済が加わった。その経済成長は大幅に鈍化した。北京は、当然のことながら、ドルに対する元の価値をわずかに減らすことにより、経済状況を良くしようとしている。しかし、これらの見通しは不明だ。これに欧州の状況が加わる。最近の政治的なイニシアティブでもEUの経済状況についての懸念は払拭されていない。世界経済は危険な状況にあるという首相の見立ては絶対的に正しい。ただ、彼が出口を示せるかどうかは別問題。おそらく無理だろう。したがって、この種の警告は正当だし意義もあるが、それが状況を改善することは期待しにくい」


この関連でロシアと日本の経済関係およびソチ会談を考えるのは論理的なことである、とフェシュン氏。


「安倍首相とプーチン大統領の会談、そこにおける全く予想外だった8部門の経済協力提案は、グローバルおよび日本国内的な経済問題の全体像に合致する。私は、東京はロシアとの関係改善のためならいかなるわらをもつかむ状態だと思う。日本側は、経済が本当に悪くなったときのための最低限の保証を得たいとの考えだろう。しかし、ロシアとの関係推進は、非常に残念だが、日本にとって優先事項ではない。それは依然として政治情勢に左右されるのだ。そして、仮に日ロ関係があまりにもアクティブに成長する場合は、日ロの接近を懸念する米国がその重大な発言権を行使し、それが日本の立場に大きな影響を与えるのだ。」


http://jp.sputniknews.com/opinion/20160527/2201161.html


 


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