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徽宗皇帝のブログ

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桂川氾濫とダム放水の関係
「泉の波立ち」から転載。
私自身京都の住人であり、桂川の氾濫は、上流にある日吉ダムから放流したためだろう、という話も聞いている。下記記事の推測のように、大雨の最中にダムから放流した可能性もある、と思っていた。それが事実とすれば実に間抜けな話であり、この桂川洪水被害はほとんど人災である。洪水被害者はダム管理責任者(あるいは京都府や国土交通省)に対し損害賠償の訴訟を起こすべきだろう。そして、今後のためにも、下記記事にあるような「大雨が予測される時の事前放流」を全国的に徹底していくのが良い。実際、この記事の後続記事によれば、全国にはそのようにしているダムもあるようだ。それが一部だけでしか行われていない、という周知不徹底が問題なのだろう。
とにかく、下記記事は非常に合理的であり、建設的な提案であると思う。
下記記事には幾つかの疑問や反論が寄せられたようだが、それに対しても後続記事で丁寧に返答しているので、興味のある方は「泉の波立ち」を見られたい。


(以下引用)



2013年09月16日


◆ 桂川 氾濫 とダム制御

 京都に豪雨が襲って、桂川が氾濫した。これはダムの制御で何とかならなかったか?

 ──

 京都に豪雨が襲って、桂川が氾濫した。
  → 警戒 京都・桂川が“氾濫”27万人に避難指示
  → 都やばい。限界を超えた日吉ダムの放流。桂川が氾濫。
  → 京都嵐山の渡月橋が台風で流されそう!! 桂川が氾濫!?
  → 桂川も鴨川も普段とは全く違う川になってます
  → 台風18号で京都がヤバイ!










  twitter の報告で、午前3時ごろにはほぼ満杯状態で氾濫しかけているとわかる。実際に氾濫が確認されたのは、16日午前7時20分ごろだという。

 ──

 ここで疑問なのは、ダムの役割だ。
 「洪水を防止するダムがあったのに、役に立たなかったのか? ひょっとして、豪雨の前には放流しないで、豪雨が来たら大量に放水しているのでは?」
 そう思って調べてみた。下記だ。
  → リアルタイムダム諸量一覧表(日吉ダム)

 このページは刻々と書き換わるので、保存に適さない。そこで、見やすい形に整理して、保存しておこう。
  → 日吉ダムの貯水率

 これを見ると、次のことがわかる。
•15日の夕方までは、放水量は少なめ。
•15日の夜には、流入量が少しずつ増えたが、放流はあまり増やさない。貯水率を高めている。
•15日の深夜から 16日初期にかけて、流入量が急増したが、放流はいくらか増やすだけ(148程度)。貯水率を急激に高めている。
•16日の午前3時ごろには、流入量が激増したが、放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
•16日の午前6時~8時ごろには、流入量が最大値となった。(このとき桂川は氾濫した。)放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
•その後はなだらかに流入量が減ったが、依然として高い水準。放流は同程度(148程度)。貯水率を急激に高めている。
•16日の午後 12時過ぎになると、流入量は同程度だが、貯水率が 上限値( 380% )に近づいた。このままではダムが決壊する。そこで、放流を急激に増やした。これまでは 148程度だったが、一挙に 500以上に増やした。
•その後は、流入量と放流量をほぼ同程度に保ったまま、その値が少しずつ減っていった。
•午後7時現在で、流入量と放流量はともに 300弱。このあとも漸減する見込み。

 ──

 以上を見たあとで、次のように判断する。
 (1) 台風が来る前には、放流しておくべきだった。
 (2) 豪雨になる前にも、放流しておくべきだった。
 (3) 以上によって、事前の貯水量を大幅に引き下げておくべきだった。
 (4) 現実には、放流はなされなかった。そのせいで、貯水率は 97%からどんどん高まるばかりだった。午前6時以降の放水量をゼロにできなかった。
 (5) もし(1)~(3)の措置を取っておけば、午前6時以降の放水量をゼロにできたはずだ。そうすれば水位は1割ぐらいは低まったと見込まれる。その場合、氾濫は避けられた可能性が高い。

 【 放流のモデル 】(数字は貯水率)
  ・ 12時間前:台風が来そうだ → 60% まで下げる。(大量放流)
  ・ 6時間前:豪雨はほぼ確実 → 30% まで下げる。(大量放流)
  ・ 3時間前:近辺で既に豪雨 → 10% まで下げる。(中量放流)
  ・ 0時間前:下流で氾濫していなければ放流は継続。(少量放流)
  ・ 6時間後:下流で氾濫しそうならば放流を停止。 (ゼロ放流)

 ──

 まとめ。
 豪雨の前には、放流を増やしてダムの貯水率を低めるべきだ。一方、豪雨のせいで下流が氾濫寸前になったら、ダムは放流をやめべきだ。
 現実には、そうしなかった。豪雨の前には、放流を増やさずにダムの貯水率を高めていた。一方、豪雨のせいで下流が氾濫寸前になったら、ダムは多大な放流を続けて、下流の氾濫の一助となった。
 要するに、今のダムの制御は、「氾濫を防ぐ」という目的には役立っていない。かわりに、「水資源としての貯水量を最大化する」ということばかり考えている。ダムの役割が根本的に狂っている。というか、ダムの制御の仕方を、根本的に間違えている。
 制御の仕方しだいで、氾濫を防ぐこともできるし、氾濫を招くこともできる。今回の氾濫は、台風のせいで起こったというよりも、ダムの制御の仕方を間違えたから起こった、と言えそうだ。
 IT時代とは言え、ダムの制御の仕方さえ、我々はまともにできていないのである。何たる愚かさ。IT技術がいくら進んでいても、それを使うための頭がパープリンであったなら、優れた技術も宝の持ち腐れになるだけだ。






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