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徽宗皇帝のブログ

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金のために危機と戦争は作られ、人民は窮乏し死んでいく
藤永茂博士の「私の闇の奥」から、長いので、特に興味深い後半だけ転載する。
藤永博士も北朝鮮と米国の対立は本物だ、と見ているようだ。それならば、あんな小さな国を米国が叩き潰すのは容易なはずなのに、なぜいつまでも北朝鮮が存続できているのかが疑問になる。となると、ここで第三の視点、「片八百長論」が生まれることになる。つまり、北朝鮮は、「世界の悪役」として存続するほうが米国にとって有利なので存続させられており、北朝鮮自体は本気で必死なのだ、ということだ。米国は、猫が獲物を弄ぶように北朝鮮をいつでも料理できるが、この国をいろいろ挑発することで東アジアに危機を作る方が軍産複合体の「営利上」有利だから、生かしたままにしている、ということである。
要するに、米国という怪物が(あるいはその支配層、すなわち超国家的資本家)が存在するかぎり、アジアおよび世界に平和は生まれない、ということである。



(以下引用)



 今回の北朝鮮指導部からの激烈な言動を引き起こした米韓合同軍事演習について、巣鴨明さんは前回のブログへのコメントで「3月11日以来、アメリカと韓国は北朝鮮の領海近くで軍事演習をしています。これは、予算にして韓国の1年分の軍事費に相当し、米軍約1万3,500人、韓国軍約21万人が動員され、世界最高水準の戦闘能力を有するとされるF22ステルス戦闘機とB52爆撃機、原子力潜水艦「シャイアン」が投入され、イギリスやオーストラリアといった朝鮮戦争時に「国連軍」として参加した国の軍隊も加わっている「防衛訓練」とは言いがたいものです。」と述べておられます。
 更にここで、巣鴨さんが伏せられた事実があります。上にも述べてある核爆弾搭載可能のB52爆撃機は米韓合同軍事演習直前の3月8日に、F22ステルス戦闘機は3月31日に演習現地に姿を現しましたが、実は、3月28日に、韓国軍とのちゃんとした事前協議もなく、あの黒い悪魔の翼のようB-2爆撃機2機が突然現れて南北境界線の南のほんの少しの距離の所に摸擬爆弾を投下するというハプニングが起きたのです。しかもこの2機のB-2核戦略爆撃機は米国本土ミズーリ州のホワイトマン空軍基地を飛び立って朝鮮半島上空に達して摸擬爆弾を投下し、一度も着陸せず、20800キロの往復飛行をして元の基地に帰って来たのでした。B-2 の航続距離は11000キロとされていますから、何処かで一度は空中給油を受けたのでしょうが、これが米国の核爆撃能力の恐ろしさを北鮮や中国に対して見せびらかし、威嚇するためのショウオフであったのは火を見るより明らかです。B-2 stealth bomber (レーダーによる捕捉困難の爆撃機)は、例の奇怪な三角形をした黒い巨大な化け物です。一機2000億円、1時間飛ばせるのに1000万円かかります。今度の北朝鮮核爆撃予行演習往復飛行で数億円の米国民の税金が空費されたことでしょう。
 話はこれだけではありません。2013年4月3日付けのウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に驚くべき記事が出ました。要約すると次のような事になります。オバマ政府は北朝鮮を震え上がらせるために、今年の始めに、“ザ・プレイブック”と名付けた計画を立て、今年の米韓合同軍事演習の時期に合わせて、米国の威力を誇示するための詳しい手順を定めました。B52, B-2, F22 の派遣はその“ザ・プレイブック”に従って着々と実行されたのでした。これが核攻撃に重点を置く威嚇と挑発(provocation)でなくて何でありましょうか。ところが、WSJ の記事によると、脅しが効き過ぎて、北朝鮮の指導部が過度にヒステリックな反応を示し始めたので、米国側は“ザ・プレイブック”で決めてあった威嚇挑発を少し手控えすることにしたというのです。辞書で見ると[playbook]とは「アメリカン・フットボールでは、チームのすべての作戦・戦術をファイルした極秘資料ブック」とあります。
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324100904578400833997420280.html
WSJの記事の私が要約した部分の原文を引用しておきます。
■ The U.S. is putting a pause to what several officials described as a step-by-step plan the Obama administration approved earlier this year, dubbed "the playbook," that laid out the sequence and publicity plans for U.S. shows of force during annual war games with South Korea. The playbook included well-publicized flights in recent weeks near North Korea by nuclear-capable B-52 and stealth B-2 bombers, as well as advanced F-22 warplanes.
The U.S. stepped back from the plans this week, as U.S. officials began to worry that the North, which has a small nuclear arsenal and an unpredictable new leader, may be more provoked than the U.S. had intended, the officials said. ■
 米韓合同軍事演習が、事あらば、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府を打倒することを目標とする攻撃的軍事演習であることは明らかです。「防衛」とは何の関係もありません。あるとすれば「攻撃は最高の防御」の思想です。
 中国もロシアも、北朝鮮に関しては、極めて政治的な計算に基づいて行動し、発言している中にあって、フィデル・カストロは、率直で賢明な、そして暖かみさえ具えたメッセージを北朝鮮に送っています。
http://www.granma.cu/ingles/reflections-i/reflections-5abril.html
「朝鮮半島での核戦争は是非とも避けなければならない」というのが、カストロの想いです。これは1962年10月のキューバ危機以来の大変な事態だというのが彼の認識です。彼の想いは南北朝鮮の人々の、そして、一旦核戦争が勃発したした場合の、放射能汚染による世界中の一般人の受難にあります。
 キューバ危機についての我々の記憶と意義の認識は大丈夫でしょうか?キューバに核ミサイルを持ち込もうとしたソ連の行動は、ヨーロッパやトルコに米国がソ連攻撃のための核ミサイル基地を展開したことに対する懸命な対抗策であったことを憶えていますか?結局ケネディ大統領はトルコの核ミサイル基地の撤去をキューバの核ミサイル基地の撤去と引き換えにしたのでした。米国の言う「防衛(defense)」は歴史上一貫して全くの空言です。

藤永 茂 (2013年4月17日)






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