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徽宗皇帝のブログ

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ウクライナについてのプーチン記者会見
「文殊菩薩」から転載。
「ロシアNOW」という媒体は寡聞にして知らなかった。「ロシアTODAY」や「RUSSIAN VOICE」以外にも、こうしたロシアメディアがあることを知ったのは収穫である。
下記記事におけるプーチン談話は、ウクライナに対するロシアの姿勢を余すところなく語っており、これを読めば、その行動の正しさが十分に理解できる。もちろん、政治家の発言であるから、すべて計算された発言であり、ロシア(およびウクライナのロシア系住民)の利益を第一としているのだから、対立側にとっては納得できない発言もあるだろうが、第三者として見れば、プーチンの方に軍配を上げることになるだろう。
なお、「あれは地元の自警団」発言を飯山一郎氏は大嘘だと言い、こういう嘘をぬけぬけと言うところがプーチンの偉いところだ、と言っているが、私はそういう考え方には賛成できない。政治家の嘘を許容すれば、(「公約なんて守る必要があるんですか」という小泉発言を想起せよ。)それはそのまま民主主義の否定である。もっとも、飯山氏は民主主義を虚妄だとし、市民は政治に関わるな、という姿勢であるが、それなら彼の政治評論は「三国志」を娯楽として楽しむのと同じレベルのものになるだろう。だからこそ私は彼の政治的発言はあまり評価しないのだが、関心が広く、情報の発信も収集も多いところは偉いものだと思っている。


(以下引用)*赤字や大活字による強調は飯山氏による。




rusnow.jpg

「あれは地元の自警団
2014年3月5日 イーゴリ・ロジン, ロシアNOW

ウクライナの危機発生以来初めて、プーチン大統領が沈黙を破って記者会見を行い、同国の情勢に関する自身の見方を示すとともに、過激主義者主義者の抑制と国家の統一の回復を呼びかけた。

putin

ウクライナ情勢

「ウクライナの状況ははっきりしている。あれは武力による政権奪取で、誰もこれには疑問の余地がない。私にとって疑問なのは、なぜこんなことをしたのか、ということだ。なぜ国をカオスに引きずり込む必要があるのか? 分からない。単に自分の力を誇示しようとしたというなら、愚かな行為だと思う。ところが、こういう行為で、ウクライナの南部と南東部を揺さぶったのだ。私は彼らに向って(ウクライナの新政権――編集部注)、千回も口を酸っぱくして言った。『なぜあなたたちは国を分裂させているのか、何をやっているのか』と。結局、新憲法を採択して、国民投票を実施しなければならない。すべてのウクライナ国民が、自分たちも国の基本的原則の形成に影響を与えることができる、と感じられるように。もっとも、これは我々の仕事ではないが」

外国の勢力の影響?

 「すべてこれらは周到に準備されていた(ウクライナの権力“奪取”のこと――編集部注)。西側の“教官”たちは大いに努力した。もっとも、政権が強力であったならば、どんな民族主義者も、あんなポグロムを行うことはできなかったし、今我々が目の当たりにしているような結果をもたらすこともなかったろう。アメリカのどこかのでっかい水溜りで、ネズミに対して何か実験でもしているような感じが、私にはときどきする。その際、実験がどんな結果を招くか全然考えていないのだ」

軍事力行使

「軍事力を行使するのは極端なケースだけだ。だがロシアは、ウクライナの正当な大統領であるヤヌコヴィッチ氏から直接、同国の市民を守るための軍事援助に関する要請を受けた。我々は、ネオナチ、民族主義者、反ユダヤ主義者が、キエフを含むウクライナのいくつかの地域で跋扈するさまを見ている。軍事介入は最後の手段であり、我々はウクライナ国民と戦おうなどとは思っていない。仮に軍事介入を決定するとしても、それは、もっぱら市民を守るためだ。我々は、誰かを隷属させようとか、誰かに自分の意志を押し付けようとかしているわけではないが、もし彼ら(ロシア系住民――編集部注)が迫害されたり、殺されたり、愚弄されたりした場合は、傍観しているわけにはいかない」

クリミア

 「軍事衝突はまったくなかったし、一発の弾丸さえ発射されなかった。我々がやった唯一のことは、自分たちの施設の守りを固めたことだ。我々は介入するつもりはないが、あらゆるウクライナ国民が、国政への参加と国の将来の決定において、同等の権利を与えられるべきだと考えている。

あれは(クリミアに出現した軍隊は――編集部注)地元の自警団だった。我々はその準備には加わっていなかった。

 クリミアのロシア領への併合の問題は検討されていない。クリミアの住民は、自由に意志を表明できる条件の下で、自分の運命を決める権利をもっている。民族自決の権利は誰も廃止していない。我々は決して、誰も挑発するつもりはないし、そうした気分を煽るつもりもない」

ヤヌコヴィッチ氏

 「彼にはもう政治家としての将来はない。そうした彼の運命に我々が関わることにしたのは、もっぱら人道的な配慮からだ。ウクライナでは殺されてしまっただろうと思う」

ガスの価格

 「ガスプロムは元の価格に戻ることはない。同社は、現在の割引価格を延長しない意向だ。四半期ごとに、それを導入するか否かで、双方で合意して決めてきた」

ウクライナへの財政援助「我々は基本的に、他の財政援助を検討する用意があるが、西側のパートナーたちは、それをしないようにと我々に頼んでいる。IMF(国際通貨基金)の枠内で協力してやるように、と言うのだ。経済の健全化のために改革を実施するよう、ウクライナ政府を促すためだという。ロシア政府は現在、さまざまなヴァリエーションを検討している。3日前、私は政府に対し、ウクライナの当該省庁と政府レベルでの連絡を再開するよう指示した。経済関係を断絶させず、経済復興に向けて維持するためだ」

国際社会の反応

 「我々の行為は、不当なものとして非難を浴びている。しかし、思い出してほしいのだが、アメリカも、イラクやリビアで、いかなる承認も得ずに、あるいはそれを歪めて行動した。我々の行動は、国際法に完全に則っている。なぜなら、我々には正当な大統領の要請があり、我が方の利益にも合致しているからだ。文化的、歴史的に緊密に結びついた人々を助けているのだから」

制裁

「制裁の影響については、それを課そうとしている当人たちがよく考えなければならない。制裁はお互いの損失だ。我々のパートナーたちは、武力による政権奪取を援助し、それを正当な権力と呼んでいる。ロシアに対するあらゆる脅しは、非建設的で有害だと思う」

パラリンピック

 「もしパラリンピック開催をやめさせようとする者がいたら、そういう人間には『神聖さ』に関するいかなる観念もない。だから、開催するうえでいかなるリスクもない」


(追記)「阿修羅」に、プーチンについての「あっしら」氏の記事が載っていたが、その中に「プーチンはオルガリヒ(ユダヤ系が多い新興財閥)の政治的代理人」という気になる表現があり、それについて私と同様の疑問を持った人(コメント07)からの質問があって、それに対して「あっしら」氏が答えているコメント(08)があるので、その二つを転載しておく。私自身は、プーチンを財閥の政治的代理人という見方はしない。世界でも稀な、「企業より政治が上位にある国」の一つがロシアであり、それを成立させているのがプーチンという稀有な人格である、と見ている。「あっしら」氏の見方は、冷静な見方と言うより、プーチンを卑小化しすぎた見方だと思う。政治家としてプーチンがこれまで成し遂げてきたこと(ロシアを経済的に復興させ、企業ギャングをロシアから追い払い、国民がまともな生活ができる国にした。)は、世界史的に見て、稀有の事例であり、過去のどの政治家に比べても高みにある、と思う。(米国の歴代大統領、日本の総理など、その大半はクズだ、と私は思っている。)




07. 2014年3月06日 22:18:42 : TGZjS8iB2r
>まず、プーチン大統領は、オルガルヒ(ユダヤ系が多い新興財閥)たちの政治的代理人です。ロシア経済を牛耳っているオルガルヒたちは、その金融活動拠点をロンドンに置いています。

確かにメドベージェフはそうですが、プーチンは違うでしょ。プーチンは反ユダヤ資本で、国外に逃げたオルガルヒを暗殺したり投獄してたことからもそれははっきりしてる。


08. あっしら 2014年3月07日 02:32:03 : Mo7ApAlflbQ6s : rqMSrEU2OI

 TGZjS8iB2rさん、コメントありがとうございます。


 プーチン氏が圧倒的な人気を得ている一つの要因は、おっしゃるように、反ユダヤ資本と見られていることにあると思っています。


 エリツィン時代にロシア経済の過半を牛耳っていた7人衆(うち5人はユダヤ系)は、その人種(宗教)的構成から、ただでさえ人々にユダヤ嫌悪の気分を醸成するものだったにもかかわらず、ベレゾフスキー氏に代表されるように、躊躇せず露骨なかたちで政治権力と経済的どん欲さを追求する人たちでした。


 ユダヤ系経済人が政策決定から大統領選までコントロールするようになったことで、仕事もしないエリツィン氏の人気は雪崩をうって落ちていきます。


 プーチン氏は、エリツィン氏によって地位を得ましたが(エリツィン氏の“失策”なのか“最後の良心”なのかはわかりません)、エリツィン氏のようなだらしない政治姿勢ではなく、ロシア国家の再生を強く志向する政治家ですから、オルガルヒと政権権力の関係を根本から変えようとしました。


 そのようなプーチン氏の意向と権力行使力を甘く見た結果が、ベレゾフスキー氏・グシンスキー氏・スモレンスキー氏・ホドルコフスキー氏など大物オリガルヒの失墜です。


 だからといって、プーチン氏はユダヤ系経済人を排除しているわけではなく、政治権力を求めず国力強化に協力するものであれば、カネ儲けも含めて自由で活発な経済活動を認めています。ユダヤ系でも、アブラモヴィッチ氏・デリパスカ氏・チュバイス氏・フリードマン氏などは健在です。


 どうこう言っても、ユダヤ系の一部人士は、確かにカネ儲け(経営)とりわけ金融操作がうまいのですから使わなければ損です。


 プーチン氏は、国民多数派が厭う露骨でおぞましい権力志向のユダヤ系経済人を追いやったのです。


(ロンドンを舞台にした様々な“事件”にどこまでプーチン政権が絡んでいたかはわかりません。“彼ら”の内部抗争の可能性も結構高いと思っています)


 プーチン氏が、“政経分離”により、政治権力まで我がものとして利益の最大化を図る恥知らずまでどん欲なユダヤ系経済人を追放したことが、反ユダヤ資本と見られる要因であり、高い人気を支えている要因でもあると思っています。






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