「混沌堂主人雑記」から転載。
非常に面白い内容で、これほど明確に「トランプの意味・存在意義(悪影響含む)」を分析した記事は初めてではないか。それをひと言で言えば「ポスト偽善」つまり、現代政治における偽善をかなぐり捨て、政治がふたたび露骨な真実の世界になりつつあるということで、それはかつての帝国主義の時代への逆行でもあるということだ。それを明確に示した論者が、いわばアメリカの仮想敵国であるロシアの人間であるのが面白い。
(以下引用)
2025 - 02/02 [Sun] - 11:41
非常に面白い内容で、これほど明確に「トランプの意味・存在意義(悪影響含む)」を分析した記事は初めてではないか。それをひと言で言えば「ポスト偽善」つまり、現代政治における偽善をかなぐり捨て、政治がふたたび露骨な真実の世界になりつつあるということで、それはかつての帝国主義の時代への逆行でもあるということだ。それを明確に示した論者が、いわばアメリカの仮想敵国であるロシアの人間であるのが面白い。
(以下引用)
2025 - 02/02 [Sun] - 11:41
青山貞一 HP より
上記文抜粋
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米国大統領の臆することの無いリーダーシップが西洋の偽善を露わにする
The US president’s unapologetic leadership exposes Western hypocrisy
RT War on Ukraine#6955 31 January 2025
英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問)
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年2月1日(JST)
2025年1月31日 12:56
筆者紹介:フョードル・ルキアノフ(Fyodor Lukyanov)) 『ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ』編集長、外交・国防政策評議会幹事会会長、バルダイ国際討論クラブ研究部長)による寄稿。
本文
ドナルド・トランプ米大統領が再び世界の政治の表舞台に登場したことで、彼の特異な政治行動に関する議論が再び活発化している。この話題にうんざりしている人もいるかもしれないが、トランプ氏は相変わらず世界のメディアの注目を一手に集め、現代世界に関する2つの重要な現実を浮き彫りにしている。まず、米国が中心的な役割を果たしていることは否定できない。他国がどれほど多極秩序を望もうとも、である。第二に、文字通り、そして比喩的にも限界を押し広げるトランプ氏の手法は、今日の情勢下で目標を達成するための有効な手段であることが証明されている。
トランプ氏の政治的行動の核心には、偽善と二枚舌を拒絶し、その代わりに率直さと無作法さがある。彼は自分の欲しいものを手に入れることに固執し、反論を無視し、同じ要求を執拗に繰り返すことが多い。トランプ氏は、他国を米国と対等な存在として扱うふりをすることもなければ、その信念を隠すこともない。彼の世界観では、国際的な平等など存在しない。中国との関係は、その経済規模と貿易量から、やや異なる状況にあるが、そこでもトランプ氏の重商主義的な本能が優勢である。
トランプ氏の手法は、彼の1期目の任期中に採択された2018年の米国国家安全保障戦略と一致しており、この戦略では、現代の国際関係は大国間の競争であると公式に認めている。この認識は、事実上、特定の国々を他の国々よりも上位に位置づけるものであり、以前は非公式に認められていたものの、明確に表明されることはほとんどなかった概念である。
■理想よりも結果を重視
トランプ氏を際立たせているのは、理想よりも結果に重点を置いている点である。彼は自分が正しいことを証明しようとしているのではなく、ただ単に自らの目的を達成したいだけなのだ。この姿勢は、他国や他国の指導者たちを軽蔑的に語る彼の姿勢にしばしば現れている。このような言動にショックを受ける人もいる一方で、トランプ氏の外交儀礼を無視する姿勢がより広範な傾向を反映していることは明らかだ。それは、米国が「善意の覇権国」として行動するのではなく、より利己的で取引的な国へと変化しているという傾向を示している。
他の諸国の反応は、この変化を如実に示している。デンマークやカナダといった国々は、トランプ氏の率直な発言に困惑し、ためらいを見せている。ドイツや英国も、トランプ氏の公然たる内政干渉に動揺している。中南米では、同盟や理想よりも自己利益を優先する米国と向き合うことへの不安感から、各国政府は最悪の事態に備えつつある。もし米国がリベラルな「善意」の姿勢を放棄し、露骨な覇権主義的アプローチを完全に取り入れるというのであれば、抵抗はほぼ不可能になるだろうという認識が広まりつつある。
■「ポスト偽善」の台頭
トランプ氏の魅力は、恐怖心からだけでなく、「ポスト偽善」とでも呼ぶべきものに対する彼の根本的な拒絶からも生じている。伝統的な政治や外交においては、偽善は対立を和らげ、対話を可能にする手段として常に存在してきた。しかし、ここ数十年で、それは政治の本質へと進化してきた。沈黙の文化と、荒削りな部分を徹底的に取り繕うとする姿勢により、真の矛盾を明確にしたり、それに対処したりすることがほぼ不可能になってしまった。
現代の西洋の枠組みでは、問題はもはや競合する利害としてではなく、「正しい」もの(西洋モデルに体現される)と「間違った」もの(それからの逸脱)との衝突として捉えられる。この絶対主義的なアプローチには妥協の余地はない。「正しい」とみなされたものは、説得ではなく力によって勝利しなければならない。ポスト・リベラリズムの勝利は、用語が意味を失い、言葉が実質から乖離した、混乱したパズルのような国際的な議論を生み出した。
このような状況において、トランプ氏の率直さはリセットボタンとしての役割を果たしている。建前を排除することで、彼は議論を曖昧な価値観に基づくレトリックではなく、具体的な利害に焦点を当てるよう強制している。複雑な問題を物質的な用語に還元することを好む彼の姿勢は、世界の複雑さを単純化し過ぎているかもしれないが、一方で会話はより具体的になり、逆説的ではあるが、より意味のあるものにもなっている。
■恐怖と受容
トランプ氏の台頭によって、彼の性格が変わったわけではない。彼の特異性については、政治的な成功を収めるずっと前から誰もが知っていた。変わったのは世界の反応である。かつては動揺を引き起こしたトランプ氏の発言も、今では受け入れはしないまでも、諦めをもって迎えられるようになっている。この変化は、恐怖と適応の組み合わせを反映している。多くの国々は、米国の圧倒的な力を認識しており、トランプ氏の容赦ない強硬姿勢に後押しされた米国の要求に抵抗しても無駄であることを理解している。
トランプ大統領の下でのアメリカの変貌は、世界政治におけるより広範な変化を反映している。特に西洋諸国における偽善の絶対化は、有意義な対話がほぼ不可能な環境を作り出した。トランプ大統領が率直で直接的なスタイルに戻ったことは不安を招くが、国際的な現実をより正直に反映している。それは、ポスト・リベラリズムが修辞的な巧妙さの層の下に埋めようとした矛盾や緊張を露わにする。
■単純化の代償
トランプ氏の手法は、快適さも安定性も約束するものではない。世界的な問題を重商主義的な本質に還元することは、国際関係を支える複雑性を無視することになる。しかし、その代替案である、終わりのないポーズの取り合いやイデオロギーの硬直性も、同様に効果がないことが証明されている。この二つの欠陥のあるモデルのどちらを選ぶかによって、現在の地政学の時代が定義される。
最終的には、トランプ氏が「包帯をはがす」ことを厭わない姿勢により、世界は不愉快な真実と向き合わざるを得なくなる。このアプローチが解決につながるか、さらなる対立を招くかはまだわからない。しかし、明らかなのは、繊細さや外交的な優雅さが支配していた時代が終わり、権力と自己利益が会話の中心となる、率直な時代が到来しつつあるということだ。その文脈において、偽善に煩わされることなく、結果を追求するトランプ氏の姿勢は、変化する世界秩序の兆候であり、推進力であると言えるかもしれない。
この記事は、新聞Rossiyskaya Gazetaに掲載されたもので、RTチームが翻訳・編集しました
本稿終了
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