- 2025/02/12
(以下引用)
石破茂とトランプの初の首脳会談 - 媚びて燥ぐ忠犬パフォーマンスを抑えた点で合格
![世に倦む日日](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84769979/profile_3adadc7df4834ad0ab66df6a479b344f.png?width=60)
日本時間の 2/8(土) 未明、DCで石破茂とトランプとの初の日米首脳会談が行われた。注目したのは記者会見でのトランプの感想で、「(石破は)タフガイだ、タフだ、タフだ、タフだ」と発言した点だ。トランプは率直な性格で、その行動様式は(政治の世界ではなく)ビジネスの世界の流儀に基づいている。なので、この吐露が意味しているのは、二者間で長い水面下の交渉があり、石破茂が譲らずトランプが狙いどおりの成果を得られなかった、あるいは、2/8 の合意に到達するまでずいぶん手こずらされたという真相だ。客観的に見れば、2/9 の日曜討論で山添拓が指摘したとおり、阿諛だけの首脳会談に違いない。が、トランプはもっと多くを欲望していたのであり、アメリカ側の要求をもっと受け入れ、アメリカとトランプを無邪気に絶賛して、嬉々として戯れて追従する安倍晋三の絵を求めていたのだろう。
二者の関係の実相は、言葉よりも態度の映像でよく看取できる。石破茂にはトランプへの尊敬はなく心酔もない。読書家であり、政治の世界での経験が長く、田中角栄を範とし師とする石破茂にとっては当然だ。石破茂の念頭にあったのは、トランプの機嫌を損ねないように慎重に配慮することと、会談が成功に収まったと評価される表面上の形を作ることと、二人の間に個人的信頼関係ができたように取り繕うことで、その演出と自重でずいぶん努力し神経を使っていたように見える。一方のトランプは、内心では明らかに石破茂に不満であり、不具合でストレスだったはずだ。日本の首相は安倍晋三と同類のポチの子分でなければならず、米日関係とは自分と安倍晋三との関係でなくてはならないのに、安倍晋三の政敵で思想信条の異なる男が現れ、不愉快だっただろう。無理難題を言って挑発するとか、鼻を明かして恥をかかせるとかの衝動に駆られたに違いない。
実際、この間の、トランプがトルドーに対してとった無礼な態度とか、コロンビアのペトロ政権に対する脅しと辱めと見せしめとか、E.マスクによる英スターマー政権への悪辣な誹謗中傷と干渉工作とか、それら諸々の情勢を考えれば、トランプは何をするか予測不能だったし、外務官僚は戦々恐々だっただろう。英国はアメリカと一心同体の国であり、単なる友好国ではない。カナダも同様だ。だが、その英国とカナダに対して、新トランプ政権は、相手の立場を無視した傲慢で侮辱的な攻勢に出てきて、トランプ2.0のアメリカがこれまでのアメリカとは違うことを示威する野蛮で唐突なマウント行動に出た。トランプ2.0の対アジア政策のイントロを鳴り響かせる場である今回の日米首脳会談で、トランプが同様の虐待的振る舞いに出る可能性は十分に想定できたわけで、その懸念と不安に怯えて臨んだ日本側関係者としては、ひとまず無難に任務を終えたという安堵の気分だろう。
帰国した石破茂の「できることは全部やった」という発言は、率直なものとして受け止められ、今回の訪米の精神的負担の大きさを思い知らされる。初の日米首脳会談に臨む日本の首相には、常に「個人的な信頼関係の構築」が要求される。これはアメリカの大統領に気に入られることを意味し、ポチ公の奮励演技でアメリカから合格点をもらうことを意味する。また、日米同盟コンツェルンの要員である日本マスコミと日本政府にその承認をもらうことでもある。今回、一応のところ「個人的な信頼関係の構築」は不首尾ではなかったようで、日本マスコミは一生懸命に「成功」報道に精を出している。が、内心でトランプを信頼も共感もしてない石破茂にとって、この役割演技は葛藤が大きかっただろう。実際、リアルに正視すれば「個人的な信頼関係」は構築されてない。その証拠に、会談後に相互にファーストネームで呼び合う関係にはならなかった。これは重要で看過できない事実だ。
二人の日米首脳が「個人的な信頼関係を構築」できたかどうかは、二人がファーストネームで呼び合う関係になったかどうかがメルクマールとなる。日本側は当然その「成果」を求めたはずだが、得られなかったのは、アメリカ(トランプ)側に蹴られたからだろう。岸田文雄とバイデンとは、2021年10月のわずか20分の電話会談で、すぐさま「ジョー、フミオ」と呼び合う関係になったと報道された。今回は「ドナルド、シゲル」と呼び合う関係になっておらず、親密な個人的信頼関係の構築は未達なのだ。そこには理由があり、要するに、次に関税賦課があり、軍事費増があり、さらに強烈な対中関係破壊の強要があるから、その将来を踏まえた上で、アメリカ側は「個人的信頼関係」を留保したのだろう。無論、いわゆる”ケミストリー”の問題もある。”ケミストリー”の難題は、日米同盟真理教に染まった安倍信者だらけの外務省にとっては、石破政権誕生以来ずっと悩みの種だった。
私は、石破茂とトランプが相性が合わず、いつもの、日本の首相が世界の前でオーバーアクションで忠犬の媚態を演じる不興な絵を見ずに済めて、とてもよかったと思う。あの絵を見る度に苦痛で精神を害していた。もしも、昨年の自民党総裁選で小泉進次郎や高市早苗が勝っていたらどうだろう、DCでどんな絵が出現しただろうと思うと眩暈がする。また、裏金問題で岸田文雄が失脚することなくトランプ詣でに馳せ参じていたらどうなっていただろう。バイデンの前で派手にポチを演じた岸田文雄だから、トランプの前でのポチぶりは狂乱の痴態だったに違いない。目を輝かせて尻尾を振り、口を開けてハアハア悦ぶ日本国首相の恥晒しないつもの絵と違い、石破茂とトランプの絵は重く、石破茂には意外な重量感が漂っていた。発言の中身はともかく、少なくとも見た目には、軽率に表情を変えないアジアの指導者の貫禄があった。
こんな感じの、アメリカ大統領を前にした日本国首相を見るのは久しぶりだ。日本国首相のアメリカ大統領の前での諂諛。恥知らずな植民地奴隷の御奉仕三昧。しかしこれは、首相だけでなく上から下まであらゆる日本人がアメリカとアメリカ人に対してやっている行動で、遺伝子に刷り込まれているのではないかと思うほどの生理反応的パターンだ。例外である人物や場面をこの20年ほど見たことがない。食肉にされる家畜が、餌をくれる主人に媚を売って気に入られている図。日本人とアメリカの場合は、餌を与えられるどころか、逆に剥ぎ取られるばかりなのに、大喜びでなついて食肉にされる関係を言祝いでいる。日本が30年以上も経済成長できずに衰退しているのは、間違った経済政策で新自由主義を推進し続けている所為だが、それは盾の半面の学術的表現で、裏面から総括すれば、アメリカに富を収奪され続けているからだ。
ネットでは、Xタイムラインでは、石破茂が椅子の肘掛に肘をついていて行儀が悪いとか、マナーがどうだとか非難轟轟だった。主にトランプ支持者の右翼の投稿であり、それに踊らされて便乗して騒いでいる左翼もいた。Xの編集はE.マスクの意向が反映したもので、編集がどのような方法と過程かは定かでないが、トランプの前で正しい植民地奴隷のコードとプロトコルに準拠しなかった石破茂を日本人が袋叩きしていた。XのタイムラインがE.マスクとトランプ政権のプロパガンダで染まっているので、最近はXを見るのが面倒くさくなり、Xへの書き込みも減ってしまった。2/8 の報道によると、フランス当局が、Xのアルゴリズムが不当に変更され歪められているという疑いを持ち、Xへの予備捜査を始めたと言う。おそらくXのフランス支社からの内部告発があったのだろう。フランスとEU圏内のXは、徹底して極右勢力のプロパガンダを撒いているのに違いない。
トランプの前で奴隷的に屈従せず、安倍晋三的に恍惚の表情でトランプを美化礼賛するパフォーマンスを演じなかった石破茂に対して、悪罵と誹謗中傷の雨霰を浴びせていたのは、E.マスクが管理するXタイムラインだけでなく、日本人が経営し運用しているはずのヤフーコメント欄も同様だった。ヤフコメがいかに安倍右翼の牙城となっていて、猛毒の親米極右のプロパガンダ装置となっているかの証左である。ネット世論を操縦する管制高地を支配している彼ら親米極右は、石破茂の追い落としを今年の目標に据えていて、参院選までに政局を起こし、高市早苗か小林鷹之か小泉進次郎の政権に戻そうと画策している。あるいは、玉木雄一郎を担いで政界再編を起こそうと蠢動している。経世会の血を引く石破茂が邪魔なのであり、9条改憲と対中戦争に消極的な石破政権を転覆したいのだ。ヤフーニュース編集部は過激な安倍右翼ばかりであり、竹中平蔵の配下ばかりが揃っている。だから、石丸伸二や斎藤元彦や成田悠輔を支持する声がネットで拡大再生産されるのだ。
しかし、DCの初会談は無難にやり過ごせたが、トランプの来日のときは厄介な局面になるだろうと予想される。今回、石破茂はアメリカへの日本からの投資を1兆ドル(約150兆円)にまで増やすと約束してしまった。当然、アメリカ側は、それなら口先手形だけでなく、具体的な納期と金額の中身を積み上げてもらおうかと迫ってくるだろう。アラスカのLNG開発および輸入計画について、AI新事業(アルトマン・孫・エリソン)への日本政府と日本財界からの投資計画について、訪日時首脳会談の共同声明で発表しようじゃないかと言ってくるだろう。また、基地負担増や防衛予算増についても具体的な数字のコミットを要請してくるだろうし、アメリカが進めている対中デカップリング(通商遮断)を日本も実行しろと迫り、具体的な品目を挙げてくるだろう。さらに、フィリピンの島嶼のどこかに自衛隊の基地を作れとか、米軍基地を作るから資金と要員を出せと言い出すかもしれない。
石破茂は、トランプ訪日と東京での日米首脳会談を参院選前のタイミングで設定し、外交アピールを支持率アップに繋げ、選挙を有利に戦う材料にしたいと目論んでいるかもしれないが、トランプ政権側は、逆にその石破政権側の都合と思惑を好機と捉えて逆手にとり、上のような要求カタログを強請して日本側に呑ませようと図るだろう。そこで石破茂が渋った場合は、日本マスコミ(CIA)と日本ネット(CIA)を動員して絨毯爆撃的な世論攻勢をかけ、石破政権転覆を仕掛けて来る可能性がある。いずれにせよ、アメリカからの経済と安保の対日要求アジェンダは、そのまま日本国内の政策論議となり、参院選の政策争点に化けるのではないか。属米CIA工作機関である日本マスコミ (松原・反町・大越、、朝日・毎日・読売・日経・産経、etc) が、そのように巧妙・狡猾に報道を運び、反中右翼が多数の衆愚世論を焚きつけて動かすのではないかと危惧される。
- メモ日記トゥディ
- 0CM
コメント