忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

ユダ金政権が最初から求める「政策提言」を出すための御用利き経済学者たち
珍しく国民目線で、しかも細部まで目配りの利いた、いい記事である。
同じく私大の教授でも、慶応の小林慶一郎や一橋大の佐藤主光らの売国(大企業・安倍政権お抱え)連中とは大違いだ。
東京財団という得体の知れないシンクタンク(か?)には、第二第三の竹中平蔵が糞(不浄のカネ)にたかる蛆虫のように蝟集しているようで、彼らの名前とともに覚えておくべきだろう。
たしか、小林慶一郎慶大教授は「将来的には消費税50%が望ましい」というキチガイ提言をしたこともあったと記憶する。


(以下引用)



 コロナショックによる経済の打撃は国際通貨基金(IMF)をはじめ多くの調査機関が「大恐慌」以来の落ち込みを予測している。


 政府は「10万円一律給付」などの緊急経済対策をまとめたが、不十分との批判を受けて、家賃補助や雇用調整助成金の上限引き上げなどを盛り込んだ第二次補正予算案を閣議決定した。


 だが政府の経済対策の中身やとりまとめの経緯を見ると、デジタル化の促進や生産性の高い産業構造への転換など、2000年代以降の市場競争重視の構造改革路線を引き継いだものだ。


 

 緊急事態宣言が解除され、経済活動は再開され始めてはいるが、対策いかんで地域経済の疲弊はさらに進む恐れがある。



価格転嫁できずにいる零細事業者


コロナ不況が追い討ち


 日本経済は、米中貿易摩擦に端を発した世界経済不安のために2019年に入ってからは落ち込みが見られるようになっていた。多くの論者がその状況で消費増税を行うことの経済への打撃を警告していた。


 しかし政府は聞く耳を持たず、昨年10月に消費税率を8%から10%に引き上げた。案の定、昨年10~12月期の実質GDPは、前期比年率換算マイナス7.1%になるなど、さまざまな指標が景気の落ち込みを示した。


 消費増税後、消費者物価指数の上昇率は前年同月比1%に達したことはない。伸び率が一番高かった昨年12月でも0.8%だった。


 内閣府の「家計の目的別最終消費支出の構成」によれば、実質消費額に占める軽減税率が適用される食料品以外の支出の割合は、消費税率にかかわらず長年、約86%と変わらない。


 2%の消費税率引き上げで物価は少なくとも1.72%は上がらなければならないはずだ(エネルギー価格は12月で0.6%しか下落していない)。


 そうなっていないということは、多くの小売りや納入業者が売値に消費税引き上げ分を転嫁できず負担しているということだ。この状態で体力のない個人事業や中小零細事業がやっていけるはずはない。


 消費税10%の世界とは、地域経済やコミュニティーを担い、人々の生業の場となってきた個人商店や中小零細事業者がもはや立ち行かなくなって一掃され、生き残るのはスケールメリットのある全国チェーン店やグローバル大企業という経済だ。


 そして生き残ったところで働く人たちの多くは、非正規の低賃金労働者だ。


 コロナショックは、消費増税で個人商店や中小零細事業者の経営が立ち行かなくなっているところに起きた。



規制緩和や「緊縮」路線で


格差が拡大


 この四半世紀ほど、「日本経済は国際競争力を失っている」として、生産性の低いとされる分野を淘汰(とうた)し、生産性の高いとされる分野に生産資源を集中し、グローバル化の波にのって製造業の海外移転を図る路線が提唱されてきた。


 そのために、規制緩和や緊縮・デフレ政策が進められ、地域経済は疲弊し、中央と地方、大企業と中小零細事業者、正社員と非正規雇用の働き手や失業者の間で格差は広がってきた。


 消費増税とコロナショックで、地域経済の疲弊や個人商店、中小零細事業者の衰退が後戻り不可能になるぐらい一気に進む懸念がある。


 そして、政府の対策は日本の地域経済や中小零細事業者をさらに悲惨な方向に導く恐れがある。



東京財団「提言」の危うさ


生産性を高めて新陳代謝促す


 対策作りには、いくつかのシンクタンクから出された「提言」が直接・間接に反映されたとみられる。


 その1つ、3月17日に東京財団政策研究所が発表した「緊急提言」(経済政策についての共同宣言)は、上記のこの四半世紀の自民党や経済界のコンセンサスになってきたビジョンを、コロナショックを機に一気に実現しようという意図のもとに掲げられた政策パッケージだといえる。


 そこでは、コロナ問題の経済政策の基本原則として、「感染拡大の抑止」「短期的な経済インパクトの軽減」「長期的な産業構造変化の促進」の3つを挙げ、8つの提言をしている。


 主に財政金融政策に関する提言をかいつまんでいえば次のようなものだ。


 ▽財政出動は、需要不足を補うだけのものでは持続的成長につながらない。経済の生産性を高める分野に重点投資する(提言2)。


 ▽ファンダメンタルズで説明がつかない株価の急落は止める必要がある。日本銀行が100兆円程度のETF(上場投資信託)や生株を購入し株式の買い支えをするのは合理的(提言5)。


 ▽家計への生活支援は、所得が急減した本当に困っている人への選択的な現金給付が望ましい(消費税減税を否定)(提言6)。


 ▽生活維持に必要な額を超える支援は給付ではなく貸し付けで行い、返済は3年間猶予して2024年から始める。金利は24年度まではゼロとし、その後は借入残高に年率1%程度とする(提言7)。


 ▽産業構造変化を考えると、企業の退出(廃業、倒産)と新規参入による新陳代謝が不可欠。度重なる天災・自然災害ごとに中小企業へ支援するのはややもすれば過度な保護になり、新陳代謝を損ないかねない。


 ▽適正なスピードでの企業の新陳代謝を促す政策を組み合わせることが必要。廃業の障害を緩和する措置を講じることが求められる(提言8)。



株式買い支えは大企業優遇


中小企業は淘汰すすめる?


 つまり提言の基調となっているのは、生産性を高める分野に絞って政府支出する図式である。


 人々の消費需要を拡大することによって、個人商店や中小零細企業が救済されるような需要の作り方(消費減税や国民一律の給付)は否定されている。


 給付は、あくまで生活を最低限支えるためにどうしても必要な人や事業者に絞り、それ以外の支援は貸付にする。つまり返せない事業者は退場しろといわんばかりで、この際コストをかけずに廃業できるように“安楽死支援”をしてやろうという発想なのだ。


 提言は、財団の研究主幹の小林慶一郎・慶応大教授と、佐藤主光・一橋大教授が発起人になり、賛同人にはこの間の政府の政策に影響を与えてきた経済学者が名を連ねている。


 発起人の学者らはもともとアベノミクスには批判的だった。日銀が通貨をたくさん作る金融緩和にどちらかというと反対の立場で、財政政策でも財政健全化を重視してきた。


 それなのに、ETFや生株に限定して日銀が買っていいとするのはどういうことなのだろうか。


 それ以外の、例えばコロナ対策のために出された新規国債を日銀が買い支えることについては、従来通り否定的と読める。


 だが新規国債を日銀が買い取れば、もっと人々の生活を支えたり中小零細企業を助けたりする財政支出ができる。その上、金利低下が進み円安になりやすくなるので、国内製造業には有利になる。


 それを避けてETFや生株だけを大量に買えというのは、うがった見方をすれば、株の買い支えで大企業を直接優遇することに加えて、日本株が上がって首尾よくいけば円高要因になり、中小零細企業の淘汰にもつながってちょうどよいとすら思っているようにも受け取れる。



オンライン化の加速で


仕事がなくなる恐れも


 また(提言2)では、「賢明な財政出動」と称し、重点投資すべき「生産性を高める分野」として「デジタル化」を挙げている。 具体的にはオンラインによる診療や授業、行政手続き、テレワークなどの推進を掲げる。


 オンライン化は、中長期的な感染防抑制策という誰もが賛成するような大義名分になっているが、実際に無原則に実現されると賃金が安く、コストの低い他国に仕事が持っていかれる恐れがある。


 今や先進国では、工場などの海外移転だけでなく、ソフト開発や会計などのアウトソーシングが行われ、それまでそういった仕事に従事してきた人たちが職を失っている。


 オンライン化が加速すれば、地場の業者、医療、教育機関が淘汰されかねないことに注意すべきだ。



政府の経済対策に貫かれる


構造改革重視のビジョン


 東京財団の提言が出された後の3月26日には、自民党の「経済成長戦略本部・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部」の合同会議で、大和総研のチーフエコノミストの熊谷亮丸氏が対策の政策提言をしたという。


 その内容も、「『雇用を守る』『中小企業を倒産させない』といったメッセージを発信して、国民の生活保障に力点を置かねばならない」など中小事業者らへの配慮はしているが、全体としては東京財団の提言の精神に沿ったものだと筆者には感じられる。


 感染拡大に一定程度の歯止めがかかった段階での「第2ステージ」での消費喚起策に続いて、次の段階で「攻めの政策に取り組むべき」として、産業構造の激変を視野に入れた「企業の新陳代謝促進」を提言している。その重点はやはり「リモートな社会」「オンライン化」である。


 筆者の見るところ、4月7日に発表された政府の経済対策は、ほぼこの大和総研の提言を下敷きにしている。


 総事業費108兆円(4月20日に修正されて117兆円)と、事業規模は一見、大きく膨らませて見せたが、今回のコロナ対策への新たな政府支出部分(真水)は18.6兆円(修正後は27.6兆円)、うち一般会計だけでは16.7兆円余り(同25.7兆円)にすぎない。


 これは「国費投入10兆円~15兆円以上」という大和総研の提言の規模感にほぼ沿っていた。


 感染収束までの生活保障の「緊急支援フェーズ」と収束後の需要喚起策の「V字回復フェーズ」の2つのステージに分けるところも大和総研の提言と同じだ。


 消費税減税や休業補償を否定し、所得が急減した家計や事業者ら対象を絞った現金給付や融資中心の事業者支援などの提言も、東京財団や大和総研の考え方と共通する。


 当初の政府案で掲げられた生活支援の「30万円の現金給付」は、対象者が狭いことが批判され、「10万円の一律給付」に修正されたが、この案も、もともと大和総研の提言で「次善の譲歩オプション」に入っていた。


 また政府の対策第2ステージで、「Go To キャンペーン」と称した観光、運輸、飲食などの需要喚起策と、「デジタル・ニューディール」と称したオンライン化推進策を2大柱として挙げたところも、大和総研の提言に従っている。オンライン化推進は東京財団の提言とも同じだ。


 経済対策作りは、こうしたシンクタンクの提言を基本に進められ、そこに、各省庁がこの機に乗じて入れておこうと持ち込んできた事業が追加された構図だ。



「逆方向の政策」追求しないと


スカスカの格差社会に





 政府の対策ではさすがに「新陳代謝」や「退出」といった刺激的な言葉はなく、中小企業などの事業継続支援も含めている。


 だが資金繰り支援などの中心になっている制度融資や特別貸し付けは、東京財団の提言のとおり、無利子は3年だけでその後から利子がつく。国は融資の原資をほとんどゼロの超低利で調達できるにもかかわらずだ。


 しかもさまざまな中小企業支援策は、給付の条件や上限が厳しい上に手続きが煩雑すぎて、審査、入金までに時間がかかりすぎて役に立たないことが指摘されている。


 自民党若手議員による積極財政的な経済政策提言をとりまとめた安藤裕衆議院議員が、粗利補償をしないと中小企業がつぶれると訴えたところ、党幹部は、「これで持たない会社はつぶすから」と答えたという。


 また、3日には逢沢一郎自民党衆院議員が「ゾンビ企業は市場から退場です。新時代創造だね」とツイートしている。


 東京財団の小林研究主幹は、12日、政府が今後の感染拡大防止と経済活動の両立を進めるために設置した「基本的対処方針等諮問委員会」に加わることが決まった。


 今後も、政府の対策には東京財団や大和総研の提言に見られる考え方が反映されると考えられる。


 それゆえ、意識して「逆方向の政策」を求めて声を上げないと、コロナ後に到来するのは、日本の経済活動の中核にいる個人商店や中小零細企業が疲弊し、街のコミュニティが消えたスカスカの格差社会に違いない。


(立命館大教授 松尾 匡)





拍手

PR

コメント

コメントを書く