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徽宗皇帝のブログ

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植民地的国家の国民感情
「長周新聞」記事の下記引用部分が、アルジェリア人質事件の本質の一つを示しているかと思うので、転載する。
もっとも、「新ベンチャー革命」管理人氏などの言うように、この事件の経過には疑問な点も多く、アルジェリア政府による自作自演説も捨てがたい。下記記事は、それとは反対に、「民衆の反乱」説とでも言えるだろう。もちろん私は、北アフリカや中東のテロリストはイスラム教とも一般大衆とも無関係の傭兵であり、その雇い主は欧米政府であるという説だ。
しかし、自国資源を収奪していく外国企業への民衆の不満というものも確かにあるだろう、と思う。これはアルジェリアだけのことではない。だからこそ、こうした資源採取施設は、常に軍事施設なみに警備されているわけだ。それは、要するに政府が「国民に銃を向け、自国国民から外国施設を守っている」ということである。これは日本国内の米軍基地が「日本人に銃を向け、日本人から米軍基地を守っている」のと同様である。米軍基地の実物を見たことも無いネット右翼などの知らない、これが現実だ。
話が逸れたが、こうした資源産業は、このような国のほとんど唯一の産業であり、いわば国民の生命線である。しかし、同時に、実際の資源企業は国民の財産を収奪する外国企業でもあるわけで、北アフリカや中東の一般民衆の間には、愛憎半ばする感情があると推測できる。
今回の事件はただの「傭兵テロリスト」によるものだと私は思うが、民衆の中には案外とその行為に快哉を叫んでいる人々も多いのではないだろうか。いや、外国企業への憎悪だけではなく、この世界全体を支配する見えない網の目への憎悪が、民衆の中には確実にあると私は思う。それが、作られた革命とは言え、北アフリカや中東でのさまざまな「民主化革命」の原動力の一つだろう。私の願いは、それが自国政府だけではなく、その政府を陰で支配する欧米国家や巨大国際企業への明確な怒りになって顕れることである。


(以下引用)


進出企業との矛盾激化 アルジェリア

 事件の舞台となったアルジェリアは地中海に面する北アフリカの産油国だ。2011年の原油生産量は173万バレル。アフリカ大陸ではナイジェリアとアンゴラに続く3番目の生産量を誇る。原油埋蔵量は122億バレル、天然ガス埋蔵量は283億バレルにのぼり、この豊富な資源をめぐって欧米諸国が争奪をくり返してきた。
 同国はもともと100年以上にわたってフランスの植民地的支配が継続してきた。武装斗争によって1962年に独立するが、その後も欧米諸国は「経済援助」など表向き「民主」的な形をとって隠然たる支配力を行使してきた。1991年には初の複数政党制による総選挙がおこなわれイスラム主義政党「イスラム救国戦線」(FIS)が8割の議席をとって圧勝するが、軍がクーデターで覆しFISを非合法化。その後は内戦が続き15万人もの死者を出す事態となった。欧米企業の権益を脅かす地元武装勢力は徹底的に弾圧された。99年にブーテフリカ現大統領が就任し、最初は武装勢力と対話で武装解除を進めて治安を回復したが、しばらくすると武装放棄を拒んだ勢力に弾圧を加える本性をあらわした。近年はそのうえに市場経済化を進めて貧富格差を拡大させた。高失業率が常態化し国民の不満が高まり武装斗争が活発化している。
 こうしたなか02年から外国による投資が本格化。日本企業は商社だけでなく、インフラ建設やエネルギー関連企業が拠点を開設し権益確保に乗り出してきた。06年には5400億円もの大型事業である東西高速道路には鹿島、大成建設、西松建設、ハザマのゼネコン4社と伊藤忠商事による共同企業体(JV)が参画。しかし武装斗争が激しさを増すなかで2010年2月完成予定だった計画がまだ8割しかできていない。ゼネコンはアルジェリア政府に追加負担を要求する動きとなっている。07年の液化石油ガス(LPG)プラント建設などもIHIと伊藤忠商事など日本企業が受注している。
 今回標的になったプラントは06年にBPがガス生産を開始した。同国は石油と天然ガスが輸出総額の98%を占めている。とくに米軍主導の軍事作戦でリビアのカダフィ政府が崩壊して以来、欧州中心にアルジェリアへの天然ガス依存度が高まっている。イタリアは約4割、スペインは約3割を依存。日本も昨年度11万㌧輸入しており、イナメナスのガスプラントは「アルジェリア経済の生命線」として軍の厳重な警戒監視下に置かれてきた。しかしそのような施設でさえ中はすべて武装勢力に筒抜けで、施設内の配食を担当するアルジェリア人従業員のあいだでストライキの計画も浮上していた。
 アルジェリア国内で失業者が増加するのに、海外の大企業がハイエナのように群がって公共事業を独占し利益をすべて持ち去ることへの矛盾は大きい。欧米メジャーもあいついで進出するなか、「自国政府と投資国の両方に打撃を与えることができる」といって外国人技術者の誘拐事件が頻発。海外進出企業への人民の憤りの強さを反映している。






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